春ですね。
中学入学です。
鏡の奥でわたしをにらみつけるロングヘアーの女の子・・・。
またですか・・・。
わたしのシュシュでくくって胸に垂らしたパーマのロングヘアーが気になっている様子・・・。
生意気・・・。
サッパリ刈ってやりたい・・・。
となりではストレートの黒髪ロングヘアーの店長が男の子の坊主頭をじっくりと電気バリカンで仕上げしている。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジリジリッ、ジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
店長はうっとりした目で動く電気バリカンを見つめている。
わかるなぁ・・・。
こいつはオカッパをオーダーしてきやがった。
つまらない・・・。
徹底的に短くしてやりたい。
やっぱこういう子は、ショートカットでしょ。
どうしようかな・・・。
「店長、ちょっと・・・」
ごちょごちょごちょ・・・。
店長とわたしはニンマリ・・・。
店長が言いました。
「お嬢ちゃん、ショートカットにしてみない?」
「いやです」
「どうして?」
「長いのが好きだから」
「じゃあ、お母さんに聞くよ・・・」
「お母さ~ん♪春らしくさっぱりとショートカットはいかがでしょう?」
「そうですねぇ~。ぜひお願いします」
「ほらね♪」
「じゃあ、あとはよろしくね♪」
「わかりました~。腕が鳴りますぅ~♪」
ジョキッ、ジョキッ、ジョキジョキッ、ザクザクザクッ・・・♪
ふーっ、ぱっくりオカッパになりました。
女の子の顔を見ると・・・。
口をパクパク、目をパチパチ・・・。
わかってるのよ、みんなこうなんだから・・・。
ざまぁみろ♪
ここからよ・・・。
チョキチョキッ、チョキチョキチョキッ、シャキシャキッ・・・♪
あっという間に両耳が出ました。
ふっ、ふっ、ふっ・・・。
ちょっとだけ刈り上げちゃおっか?
いいよね・・・。
と思いながら、わたしのハサミとクシは、勝手に動く。
シャキシャキッ、シャキシャキッ、シャキシャキシャキッ・・・♪
生え際から2センチくらいを短く刈り上げ・・・。
チクチク、ゾリゾリ・・・♪
ざまぁみろ♪
仕上げはバ~リカン~♪
中学女子の刈り上げ専用電気バリカンの登場です。
ちなみに当店では中学男子の丸刈り専用電気バリカンとは別になっております。
乙女のためのバリカンです・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
女の子の顔を見ると・・・。
くやしそうにひきつった表情・・・。
うふふ・・・。
これでスイッチを止めようと思ったけど・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
だいたい生意気なのよ・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
こういう子はねぇ・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
サッパリと・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
刈り上げ!
ジリジリジリッ、ジリジリジリッ、ウィ~~ン・・・♪
わたしはゆっくりとバリカンのスイッチを止める。
できあがった刈り上げを眺める・・・。
チクチク、ゾリゾリ、チクチク、ゾリゾリ、ゾリゾリ、チクチク・・・。
生え際から2センチの毛が、青々と刈り上がりました・・・。
ざまぁみろ♪
きゃぁわぁいい~♪
「店長、思い切って春らしくちょっとだけ刈り上げてみました。どうでしょう?」
「あらぁ、こんなに青々しちゃって・・・。でも素敵ねぇ♪百点満点♪」
「ありがとうございますぅ♪中学生なので、青々と短く刈り上げたほうが清潔感がありますし、なにより春らしいですよね・・・」
「そうねぇ、その通りよ。とっても素敵に変身しましたね。やぼったいロングヘアーとは見違えるほどかわいくなりましたね・・・」
「お母さん、どうですかぁ?」
「うふふ、とっても可愛くなりました。よかったわね・・・」
あとは剃刀で仕上げ・・・。
しっかりと剃ってやらないと。
ゾリゾリ・・・、ゾリゾリ・・・、ゾリゾリ・・・。
もみあげも、襟足も、ラインきっちり、キレイに剃り上がりました。
ふっ、ふっ、ふっ・・・。
ざまぁみろ♪
生意気な背中までのたっぷりしたロングヘアーーがすっかりなくなって、今ではサッパリとショートカット美人・・・。
素敵です・・・。
いよいよ断髪式も終了です。
「おつかれさまでした」
わたしはさっとピンクの刈布を取りました。
あらためて、そこにいたのは、驚くほど清潔感のあるショートカット美人・・・。
これでいいのよっ・・・♪
「どう?」
ショートカット美人はじっと黙っている。
「きゃぁわぁいい~じゃな~い♪余計なロングヘアーがすっかりなくなって、すごくキレイよ・・・」
ショートカット美人はニッコリ・・・。
わたしは、胸に垂らしたパーマのロングヘアーのシュシュをサッと外して、髪を後ろに、さら~ん、となびかせた。
「ロングヘアーがうらやましい?」
ショートカット美人は、ぷーっと赤くなってむっつり顔・・・。
ワハハハ・・・。
わたしは大爆笑。
店長も、ストレートの黒髪ロングヘアーを、さら~ん、となびかせた。
お母さん大爆笑。
ショートカット美人も一緒にみんなそろって大爆笑。
ほんとによかったね・・・。
これがあるから床屋はやめられない。
