これから記す物語は、はるか遠い昔、まだ魔法が使えた時代のことである。法王、王、騎士、諸侯、その他、身分のある者が、国の統治を行う王政、貴族政が一般的であった、古風な世界であった。
物語の世界は、エゴルディアという大陸である。エゴルディアには人間が住んでいた。ゴート、ドンバ、カリオンという三つの国があった。エゴルディアの北のはずれには、ホビットという種族が住んでいた。また、西にはドワーフ、南にはオークがいた。まだ正解な地図というものがなく、人々は生活の知恵を出して、旅をしていた。
カリオン王国には、この世界、特に人間が信仰する宗教であるドラゴリス教の法王がおり、国を統治していた。そこでは法王が王であったのだ。法王はマンニという名であった。ドラゴリス教の暦で、二○五八年の秋。