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思索とアートとヘアカット
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山口友子さん(鬱病)

  加来病院第二病棟診察室

加来典誉 はい、先代の院長から代わりました、加来典誉です。山口さんですね。山口友子さん。入って何年ですかね。二年間。退院でしょ、希望は。退院。なんで退院できないんですかね、ナース。カルテに書いてある。ちょっと探してみます。時々、夜、叫んでいる。なんで叫んでいるか、わかる、覚えている?覚えていない。これ初期はあったのかな。知っている人いますか。カルテは残っていますか。昔のカルテ。残っている。ない、初期は。拘禁反応だろうね。うちのお父さんがちょっとわからんかったかな。閉じ込めすぎてね、ストレスがたまって、ワーッといいっているんだと思います。旦那さんはいない?いますよね。いる。旦那さんに週に一回来てもらうわけにいかないですかね。いい。旦那さんと一緒に外出しませんか。落ち着いているでしょ、叫ぶの以外。あれは拘禁反応で出ているだけだから。ナースと一緒に行ってもいいけれど、ぼくはもう、旦那さんと一緒でいいと思います。逃げ出さないようにして欲しいです。逃げ出しても、旦那さんがまた入れるから意味ないですよ。それか、旦那さんがもういいや思えば退院です。ただ、どうなのかな、旦那さんはお医者さんに任せていますからね。お子さんは?いる。一人。何歳ですか。十六。息子さん?そう。お母さんに会いたいんじゃないかな。まぁ、息子さんに会うのもいいだろうしね。外出してください。外出許可を出しておきますので、はんこ押して。週に一回、外出ね。やってみましょう。院内散歩はしていますか。やっている。そしたら大丈夫ね、突然じゃないから。じゃ、やってみましょう。

  加来病院第二病棟診察室 一週間後

加来典誉 どうですか、外出は楽しかった?息子さんにも会った。よかったですね。安心した。どうですか、外は。いい。美味しい物を食べた。叫んでますか、ナース。叫んでいない。拘禁反応ですね。うちのお父さん、わかんなかったかな。よし、そしたら、この外出を繰り返していって、そのうち、外泊に切り替えましょう。二ヶ月外出しましょう。で、あと、一ヶ月、週に一回、外泊、つまり家に泊まります。そして、退院しましょう。
山口友子 わかりました。
加来典誉 昔、なんでね、鬱になったんですか。わかっていますか。わかっている。なんでですかね。お父さんが亡くなった。女性に多いですもんね。お父さんが大好きだったら、亡くなったら、寂しくて。後になって考えるのもいいんですけれど、今、考えておきましょう、退院に向けてね。お父さんがね、もし、天国にいるとして、友子さんになんか話しかけていますか。話しかけている。
山口友子 早く帰って、息子の世話をしてやれって言っています。それだけです。
加来典誉 それをしないといけませんんね。
山口友子 そうですね。
加来典誉 美味しいご飯を作ってあげるのだけでも、世話ですよ。息子さんは一番喜びますから。お父さんの料理は、忙しいから、冷凍食品とか、お惣菜になってしまいますから。お母さんは、鬱で入院してからだから、外で働くことはできないけれど、家でお食事したり、掃除したりすると、息子さん、とても喜びますよ。それから始めたらどうでしょう。そのうち、働けるようになって、週に三日くらい、アルバイトか、パートで働いてみたりするといいんじゃないですか。それか時間が短いのを週に五日とか、そしたら、毎日自炊できるでしょ。息子さんは一番喜びますよ。美味しいご飯が嬉しいんですよ、子供って。逆にグレる人もいます、お母さんが働き出すと。ご飯が不味くなるから。そういうふうにやっていきましょう。

  山口友子は三ヵ月後、外泊に成功し、退院した。

  加来病院外来診察室

加来典誉 どうでしょう、どんな感じですか。元気ですか。だいぶ元気になった。
山口友子 治りました。
加来典誉 ひとつは入院するよりはましと思いますよね。
山口友子 そうですね。
加来典誉 自由がないしね。ご飯つくってる。美味しいでしょ?
山口友子 美味しいです。
加来典誉 やっぱり、旦那さんが働きながら料理するより、いいですからね。
山口友子 そうですね。
加来典誉 息子さんが巣立つまで、美味しいご飯で、というのはどうですか。
山口友子 そうですね。
加来典誉 お父さんも稼ぎがだいぶ上がっているから、働かなくていいから。それはよかったですよ。そしたら、美味しいご飯をずっとつくるのがいいんじゃないですか。夢はありますか。息子さんの夢。あんまり息子さんに過大な期待をかけるのはお勧めしません。こうなってほしい、ああなってほしいとか。自由にさせてあげることです。わたしはそう思います。で、よかったね、って言ってあげることです。とにかく元気でいてくれていることだけ。ああしなさい、こうしなさいは、言わないことです。嫌われますからね。ニッコリ笑って、後ろで応援しているよ、っていうぐらいでいいんです。彼女も出来ればいいなと思っていればいいです。ああしなさい、こうしなさいはやめたほうがいいです。
山口友子 わかりました。
加来典誉 息子さんに、お父さんの影があります?
山口友子 そうですね。
加来典誉 だから、逆に息子さんに甘えてみたいこともあるだろうから、そのときは、素直に、話があるんだけどって、話してみたらどうですか。意外とお母さん弱いところがあるんだなと思って、心配してくれたりしますよ。正直にね、そういう時は、我慢しないでね。じゃないとまた鬱になりますからね。わたしじゃわからないことがありますから。息子さんならわかることがあるからね。ということでいいでしょうか。もちろん、旦那さんでもいいですよ。ただ、旦那さんは血が繋がっていませんからね、お父さんとは。友子さんのお父さんっていうのは、すごく精神的に影響力が大きかったみたい、友子さんにとって。
山口友子の夫 あ、そうですか。
加来典誉 何か特別な影響があったみたいです。今は何て言われていますか。
山口友子 すごくよくできていると言っています。
加来典誉 いや、あの世のお父さんが何て言ってるかな、って前に言っていたんです。すごくよくできていると。
山口友子の夫 そうですね。
加来典誉 じゃあ、週に一回を一ヶ月診察、それから後は、二週間に一回でいいですよ。これはそんなに・・・、いや、いや、ちょっと待って、二年間入院しているから、半年間は週に一回にしましょうか、いや、三ヶ月かな、そして、もう三ヶ月は二週間に一回ですかね。薬は極力、減らしていける分は減らしていこうと思っていますから。薬があるとボーっとしますからね。。
山口友子 ボーっとします。
加来典誉 最終的には、薬はゼロにしてあげたいですね。まぁ、三年か、四年くらいかかると思っていてください。抜くのはね。薬の影響というのは結構強いんですよ。脳の中にこびりついていますからね。なかなか抜けないですよ。いわゆる禁断症状っていうのは平安名ですけれど、依存体質になっていますからね、それを抜くのは難しくて、時間がかかるので、よろしくお願いします。

  山口友子は退院後、半年後、一年後、薬が減っていった、もう一年して、薬がなくなった。

  加来病院外来診察室

加来典誉 寝れますか。
山口友子 寝れます。
加来典誉 大丈夫ですか。
山口友子 大丈夫です。
加来典誉 よし、もう大丈夫かな。元気すぎる感じはないですか。
山口友子 ないです。
加来典誉 うん、そしたら大丈夫ですね。ぼくのお勧めなんですけれどね、天神にコナミスポーツクラブってあるでしょ。
山口友子 ありますね。
加来典誉 あそこでね、ヨガがあっているんですよ。ビランクスヨーガっていうのをやっているんですよ。本田茜っていうのがやっていますから。わたしの好きな人です。
山口友子 そうですか。
加来典誉 ビランクスヨーガっていうのをやっていますから、これをやってみてください。鬱に効きますから。躁にも効きます。あの、元気がないときに、ビランクスヨーガをやると、元気が出てきます。逆に元気が出すぎているなっていう時に、これをやると、きれいに調子が戻ります。ぜひやってみてください。あれ、なんかちがうなって思います。
山口友子 わかりました。
加来典誉 月、一万円です。大丈夫ですか。
山口友子 大丈夫です。
加来典誉 じゃあ、ぜひということで。スポーツウェアを買わないといけないです。女の人だから、結構、お洒落しないといけない。結構、お洒落なスポーツウェアで行かないとなんか恥ずかしい感じです。見学してみたらいいですよ、まず一回。
山口友子 わかりました。

  加来病院外来診察室 一週間後

山口友子 行ってみました。なんかお洒落してます。面白いです。わたしも、ひとそろい買って行こうと思っています。
加来典誉 二ヵ月後に行くんですね。一そろい買ってからですね。貯めてからですね。靴も買ってね。みっともない格好じゃいけないからですね。楽しみですね。健康、第一ですからね。

  加来病院外来診察室 二ヵ月後

加来典誉 どうですか?
山口友子 なんか落ち着く感じがします。
加来典誉 あ、そうですか。そうでしょ。そわそわしてたのが取れる感じでしょ。
山口友子 そわそわはしていないです。
加来典誉 なんか落ち着きますね。わたし、このヨガには効果があると思っています。本田さんは、わたし好きだから。わたしも時々、行っています。会いませんね。
山口友子 会ってるじゃないですか。
加来典誉 ははは、会いましたね。週に二回やっているから。わかりました。シンプリーヨガというのもやっていますね。本田さん、あの人うまいから。
山口友子 そうですね、うまいですね。
加来典誉 わたしもね、背中が痛いのが悩みで、行っているんですよ。彼女が、自分には彼氏がいるって言ってきたのは、ショックでね、行けなくなりました。本当かなと思って、今、怪しんでいるんです。いろいろやってみました。絵をあげたり。
山口友子 どんな絵ですか。
加来典誉 ちょっと、恥ずかしい。彼女に聞いて。肖像画です。本田茜さんの。あとはビデオとかCDとか。そしたら、支店長から、もうやめてくださいと、喜んでいるけれどということでした。わたしも人間らしいひとなんです。じゃあ、ずっとこれでやっていきましょう。薬もなくなりましたもんね。まぁ、月に一回の診察にしましょう。もし、来たくなったら来てください。怖いとかね。変な感じとか。月に一回続けましょう。あと、二年間くらい続けましょう。そして、終わったら、もう、来なくていいです。来たい時でいいです。

  山口友子は二年後、来なくてよくなった。


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