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思索とアートとヘアカット
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飯田花子さん(人生相談)

  加来病院外来診察室 月曜日

加来典誉 はい、今日初めて担当ですね。加来です。よろしくお願いします。加来典誉です。飯田花子さん。あ、はい。よろしくお願いします。お年をお伺いしていいですか?・・・二十一。先生の噂を聞いて・・・。あ、そうですか。ありがとうございます。よく治るって。ああ、病気が、うんうん。お薬を使わずに。
飯田花子 そうですね。
加来典誉 初めて精神科にかかる患者さんだとそうできる可能性が大きいんですけどね。もうすでにお薬を飲んでいる方だと、なかなかやめられないのが現状なんですよ。脳がね、薬に慣れているんですよ。だから、急にお薬を抜くとね、びっくりして症状が大きく出るんですよ、。断薬というのはかなり難しいです。今、わたしの研究課題なんですよ、断薬が。で、どうなさったんですか?
飯田花子 息子が・・・。
加来典誉 息子さんがいらっしゃるんですか?二十一歳で・・・。何歳ですか?
飯田花子 八歳です。
加来典誉 はい。
飯田花子 息子が夜中、お母さんが嫌いだっていう。
加来典誉 うーん、なるほど。お母さんね、おうちでご飯作っていないでしょ?
飯田花子 なんでわかるんですか?
加来典誉 だいたい、そこでこどもはお母さんのこと、不満に思うようになるんです。いーなー、おともだちはね、みんなね、週にね、まぁ、毎日じゃないけど、三日か、四日は、お母さんのご飯が食べれるのにね、ぼくのおうちはずーとごはん、なんか、冷凍食品とか、外食とかね。
飯田花子 なるほど。
加来典誉 お母さん、嫌いとか言っているんじゃないかな。あの、旦那さんいらっしゃいます?
飯田花子 います。
加来典誉 一応ね、家計簿をつけることをお勧めします。
飯田花子 そうですか。
加来典誉 いったいどれくらい自分は一ヶ月に使っているんだろう。で、旦那さんへのお小遣いもあるなら、いくらとか。お小遣い制ですか?
飯田花子 お小遣い制です。
加来典誉 お小遣いでいくらやっているとか書いて。で、子供は大きくなっていくから、息子さんが。小学校は公立に行くとして、無料として、中学もまあ、無料ですね。でも、もしかして高校で私立に行くかもしれない。それか、高校も公立だったけど、大学や専門学校で私立に行くかもしれない。まあ、専門学校は私立しかないですね。ということを考えていると・・・。生涯・・・、息子さんはね、わたしは、高校まで行かせればわたしはOKだと思います。そこまでが、親の義務だと思います。あとは勝手にさせておけばいいと思います。心配だったら、専門学校、大学まで。高校は公立に行ったおかげで、大学は私立に行けた。もしくは、大学に行けた。国公立の大学にいけた。というふうに考えます。いろいろなパターンを考えて、だいたいいくらぐらい要るのか。今の仕事でどれくらいかせげるのか。計算してみて、うーん、わたしね、実は週に三日ぐらいは家でご飯作れるね。となるんだと思います。
飯田花子 なるほど。
加来典誉 もちろん、贅沢品というのも大事ですよ。例えばバッグとかね。エルメスのバッグがほしいとかね。こういうのも女の人には必要ですからね。
飯田花子 よくわかりますね。
加来典誉 わたしもわかりますよ。やっぱり、バッグひとつ持っているだけで、格好がちがいますね。
飯田花子 そうですね。ははは。
加来典誉 そこで印象が違いますもんね。だから、あの、とにかく贅沢も含めて考えます。それと、これはお勧めなんですけども。エクセルで家計簿を作るとして、贅沢に使ったのは、列に「1」をつける。必需品に使ったのは「0」をつける。例えば、3月4日 0 サニー(食料)3000円。そしたら、これで必需品に3000円使ったのことになります。そしたら、オートフィルタって知ってますか?
飯田花子 知らないです。
加来典誉 「0」だけ出すってできます。これだけ「0」に使ったとか、「1」に使ったとかがわかります。いろいろ工夫してみてください。最終的にできたらいいのはグラフですね。1月1日から始まって、12月31日まで、どういう推移なのか、必需品と・・・。
飯田花子 難しそうですね。
加来典誉 まぁ、そこまで凝らんんでいいにしてもだいたいですね。三ヶ月ぐらい見ていてですよ。これぐらいじゃないかなってわかると思いますよ。わたしは実は週に三回か四回は家で料理が作れるな、これだけでもお子さんはニッコリしますよ。
飯田花子 そうですか。ははは。
加来典誉 お母さんの料理は週に四回ぐらい食べれる、ニッコリ、自慢げに言いますから。
飯田花子 ははは。そうですか。
加来典誉 お忙しいからね、毎日は作れない。土日とあと、もう一日ぐらいは作れるとかね。
飯田花子 なるほど、そうですね。
加来典誉 だったら、子供さんは喜びますね。特別な日だから。その日はお祝いみたいな感じで喜んでいると思いますよ。だから、それができないもんだから、お母さんともっと触れ合いたいんですね、もっと。子供さんはお母さんと触れ合いたいんです。ところが、冷たい感じで、冷たい関係になって、もっと甘えてみたいんですね、お母さんに。できないんですね。食事を食べている時が一番甘えやすいんです。「あのさ、実はぼくさ、学校で、好きな人がいるんだ」そういうことをいう余裕が食事のときにあるんです。そういうことがないから、うまくいかないんです。だから、そうですね。お母さん、なんていうお名前ですか?息子さん。ジュンタくん。「お母さんね、ジュンタのためにご飯作ろうと思っているの夜」「なんで」「ひとりでさびしいでしょ。これから三ヶ月くらいどうすればいいか考えるから、それが終わってからご飯作ろう」というと、納得しますから。今、小学校何年生ですか?
飯田花子 小学校三年生です。
加来典誉 三年生ならわかりますよ。
飯田花子 そうですね。
加来典誉 ずいぶん若くして産んだんですね。
飯田花子 そうですよ。
加来典誉 苦労してますね。
飯田花子 苦労しました、わたし。
加来典誉 そうですか。じゃあ、危機感があるんですね。
飯田花子 そうです。
加来典誉 お金がないっていう。
飯田花子 よくわかりますね。
加来典誉 わたしもね。わからないなりにわかっているつもりです。わたしは、うちの父も医者でしたしね、院長でね。カネはあったんです。だから、貧乏な人の気持ちはよくわからないと思っていましたけど、わたしもいろいろ女性の体験があったりして。お金がない女の子と一緒になったりして、大変だと、お金はあればあるほどいいとか、そういう話を聞いていると、やっぱりお金は大変だな、と、そういうので知りました。
飯田花子 そうですか。
加来典誉 わたしはお嬢さんというが苦手でね、もちろんいいお嬢さんもいらっしゃいますけど、苦労知らずが多いもんですから。ただ、貧乏な女の子も人を騙してみたりすることもあるけど。
飯田花子 ははは、そうですね。
加来典誉 そこも問題は問題ですけど。貧乏なほうが苦労しているから、人の痛みがわかりますからね。わたしは、貧乏な子が好きだったから、女性体験するときも貧乏な子が多かったですね。相手は。女性体験っていっても、付き合うわけじゃないですよ。夜の女の子ですから。
飯田花子 なるほど。
加来典誉 でも・・・。
飯田花子 わたしもしてました。
加来典誉 あるんですか?あ、そうですか。お金がなかったんですね。
飯田花子 ないです。
加来典誉 キャバクラみたいなのですか?デリバリーヘルスですか?
飯田花子 デリバリーヘルスです。
加来典誉 わたしもよく利用していましたよ。
飯田花子 ははは。
加来典誉 好きでしたよ、デリバリーヘルス。まぁ、うまくやればもうかる。
飯田花子 うまくやればもうかる。
加来典誉 わたしは絶対に秘密は守りますから。カルテにも書きませんから。
飯田花子 人にはあんまり言いたくないです。
加来典誉 わたしは恥じる職業じゃないと思っていますけど、外聞きがわるからですね。
飯田花子 そうですね。
加来典誉 お母さんも大変なんだな。そういう話を息子さんに小さな頃から話してみたらどうですか。お父さんがね、お母さんは売女だ。とかいって文句を言ってくることがある。
飯田花子 そうですか。
加来典誉 そんな話を聞いたことがあります。お母さんは昔、淫乱なことをしていた。ひどい女だ。とか言ったりするんですよ、お父さんが。だから、今のうちに、「わたしねデリバリーヘルスって言うところで、男の人と寝てたのよ」と、息子さんに小さい頃から言っておくんです。そしたら、男の子はニッコリして「そうなんだ」と、「お友達には言わないでね」と言うと、「なんで」「馬鹿にされるから」っていうと、本当に言いませんから。「きつい?」ていうと、「好きな人にだけ言っておいたらいい」て言うんです。
飯田花子 わかりました。
加来典誉 正直に言っておいたほうがいいですよ。後で旦那さんが言ってきますからね。だいたいそれが息子さんが十六歳か十七歳くらいのときに起こるんですよ。その年齢じゃ、まだデリバリーヘルスは利用できませんからね。
飯田花子 そうですね。
加来典誉 飲み屋なら行けますけどね。キャバクラね。少し行ってみるっていうのもいいですよ。大失敗になるって言う可能性ももしかしてありますよ。友達に言って、しょんぼりしたとかね。だから「あまり、言わないほうがいいよ」ということなんですよ。ただ、お母さんはそういうところで働いていたと。なんでかというと、ジュンタを育てるためと。
飯田花子 そうです。そのとおりです。
加来典誉 でもね。一番いけないこと。自殺しちゃいけないということ。
飯田花子 なんですか?
加来典誉 責任を感じて。
飯田花子 あぁ。
加来典誉 子供さんに悪いと思って。わたしがいなければ息子は幸せになれるという感じで。絶対に思わないこと。
飯田花子 わかりました。
加来典誉 まぁ、家計簿をつけてみるということ。三ヶ月くらい様子を見てみて、週に三回くらい家で食事を作れるようになるということ。三回か、四回。目標は四回ですね。半分以上。また来週こられたらどうですか。今日が月曜日で、木曜日もありますけど。どっちが。
飯田花子 木曜日で。
加来典誉 では、木曜日。

加来病院外来診察室 木曜日

加来典誉 あ、こんにちは。どうですか?お子さんは。
飯田花子 よかったです。喜んでます。甘えたいみたいです。
加来典誉 やっぱりそうでしょ。デリバリーヘルスの話をしましたか?
飯田花子 してないです。
加来典誉 それはそうですよね。怖いですよね。
飯田花子 怖いです。
加来典誉 ははは、お父さんが不満になって言ってくるから、いずれ。それが心配。まだ小さいから、わからないなら、五年生くらいかな。
飯田花子 そう、五年生くらいです。
加来典誉 でも、五年生くらいになってからのほうが逆に大変なこともあります。性の目覚めの以前に言われると、「ま、そんなものかな」という感じになります。
飯田花子 そうですか。なるほど。でも、喜んでいます。
加来典誉 甘えられるからね、お母さんにね。それが嬉しいんですね。お友達と話が合って「お前のお母さん、どれくらい家で・・・」と言われて、前は悔しいと思っていたけれど、今は違いますからね。
飯田花子 そうでしょうね。ははは。
加来典誉 また、月曜日、来られるんですね。わかりました。

加来病院外来診察室 月曜日

加来典誉 笑ってました?お子さんが。おかしいって。そんなんでお金がもらえるって、不思議がってた。今のうちに言っていると、子供は怖がらない、嫌がらないんです。子供は。そんなもんなんだと思ってます。あんまり言わないほうがいいですね。馬鹿にされるから。ぼくもやってみたいって。子供は純粋ですね。男はないからって。
飯田花子 純粋ですね。ほほえましいですね。
加来典誉 ずっと来られるか、一カ月おきでもいいですよ。
飯田花子 落ち着くんです。
加来典誉 落ち着くんですか、わたしが。ははは。ずっと毎週来られます?二週間にいっぺんでもいいですよ。
飯田花子 二週間に一度で。
加来典誉 わかりました。では、やってみてください。

加来病院外来診察室 三ヵ月後

飯田花子 だいたいわかりました。こんなに働かなくてよかったです。
加来典誉 そうでしょ。貯金も含めて。
飯田花子 そうです。週三日食事を作れるようになりました。約束どおり。
加来典誉 よかったじゃないですか。ははは。また問題があったら来てください。
飯田花子 いえ、もういいです。
加来典誉 では、卒業です。ありがとうございました。また、用事がないことを願っています。では、失礼します。


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