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こけしヘア

わたしは今、福岡の大学に通っている医学生です。昔の思い出を語らせてください。わたしの実母はわたしが小学校3年生のときに、交通事故で亡くなりました。父は大手の銀行で経理の仕事をしており、しばらく男手一つでわたしを育てていてくれたのですが、わたしが小学校5年生のときに、同じ会社で働く年上の女性と恋に落ち、再婚しました。それが今の母です。その母(紀美子)はバツイチで、2人の子供(姉弟)を連れて父(啓太郎)と再婚しました。

当時の母は営業と企画の仕事をしているばりばりのキャリアウーマンで、時間どおりに帰ってくる父と違い、休みの日も出勤したりと、かなり忙しい人でした。わたしたち子供たちになかなか時間をさくことができないのを母はよく気にしていましたが、そんな母が、本人いわく「スキンシップのため」かかさずやっていたのが、家族の散髪です。母は最初の夫と一緒の時からずっと夫と子供たちの髪を自分で切っていたそうです。わたしの父と再婚してからもそれは続きました。素人床屋でしたけど、母はハサミとクシとスキカル(電動バリカン)を器用に使いこなして、ちょっと見では素人とは思えない腕前でした。

わたしは幼稚園の頃からずっと背中から腰くらいのロングだったのですが、新しい母の床屋さんにお世話になり、めでたく(?)「おかっぱ」にされました。

母が連れてきた恭子(2歳年下)と隆司(3歳年下)と最初にわたしが会ったとき、恭子は短めのおかっぱ、隆司はスポーツ刈りでした。母は毎月1回月の後半の休みの日を散髪の日と決めていて、夫と子供たちの髪を切っていました。母は男も女も短髪が好きで、自分もショートカットにしていました。一緒に住み始めてから最初の散髪の日の前日に、わたしの髪も切らせてほしいということで、「長い髪は暑苦しくない?これから夏だし、すこし短くしてみない?いいでしょ?」と母に言われました。わたしはほんとうは嫌でしたけど、けんかするのはいやだったのであんまり短く切らないでとお願いして承諾しました。

散髪の当日、最初に母の散髪イスに座ったのはわたしでした。リビングでライトブルーの散髪ケープとタオルを巻かれ、「由紀子、いいわね、切るよ」の母の声とともに、腰まであったわたしの髪に母の散髪バサミが入ってきました。母は散髪のときは濡らさないで切る主義で、ジャキ、ジャキ、バサッ、バサッと豪快な音を立てて、わたしの髪の毛をどんどん切っていきました。いきなり30センチくらいの長さの髪の束が床やケープに落ちてきました。鏡はなかったのでどうなるかわからず、不安でたまりませんでしたが、落ちて行く髪の毛の長さから自分の髪がどれくらい切られているのかはわかりました。母のハサミが動くたびにわたしの頭はどんどん軽くなっていきました。今までわたしの頭にあったはずの髪の毛が次々に床やケープに積もっていきます。わたしはビクビクしていましたが、変に動かすと、失敗してもっと短くされると思って、じっとしていました。前髪も眉上で切られました。最後に短く切りすぎてラインからはみ出した襟足の毛をスキカルでジョリジョリ剃られました。母に手鏡をわたされました。鏡の中にいたのは、かつてのロングのわたしではなく、「こけしちゃん」でした(泣)。母は「さっぱりしたわね♪由紀子も短い方がよく似合って、かわいいね」とお世辞ともなんとも言えない自己満足の感想を言われました。自分の信じられないほどの頭の軽さに戸惑わずにはいられませんでした。次の日、学校に行くのがかなり怖かったです。

でも慣れというものは恐ろしいもので、わたしは中学を卒業するまで母の床屋でおかっぱにカットされていました。高校になるとようやくロングになったのですが、毛先を切ったりとかは母がやってくれました。わたしは大学になって東京から福岡に引っ越して一人暮らしを始めたので、さすがに母に散髪はされていません。大学になってほんとにひさしぶりに美容室に行き始めました。やっぱりドキドキ感はかなりあって緊張しました。

記事作者:加来典誉
公開日:2022年10月24日(月)個別ページ
カテゴリー:小説 

これでうちの子らしくなったね♪

うちの二人の息子たちは、少年野球に入って以来ずっとバリカンで丸刈りです。小学校・中学校の男子は、みーんな丸坊主♪これで決まりです(笑)。丸刈りはさわやかだし、刈る側のお母さんもすっごく 気持ちいぃーですよ。ある意味、ストレス解消??になります(笑)。お宅の息子さんもどうですか?昔はスキカルを使っていたのですが、今はもっと切れ味のいいプロの床屋さんが使うバリカンを使っています。このバリカンは、ほんとにパワフルでスイスイ刈れるのでお気に入りです。おかげでわたしもすっかりバリカン好きに。丸刈り専門ですが(笑)。Ψ( ̄∀ ̄)Ψケケケ…。息子たち二人がお世話になっている少年野球チームでは、明文化はされていないのですが、大会前になると、有志のお母さんたちがバリカンを持ってきて散髪大会をします。坊主でない子もふくめて野球少年たちはみんなそろって五厘刈りに♪気合をいれせます。もともとはチームの負けが続いたときの反省五厘として、監督と家にバリカンを持っているお母さんたちの話し合いから始まったようで、その後、好評で恒例の行事になったそうです。最初は嫌がっている男の子も、いずれ楽だということに気づいて、進んで有志のお母さんたちのバリカンに頭を差し出すようになります。わたしも長男がチームに入ってから、買ったばかりのスキカルを持って参加するようになりました。長男もこの散髪大会で人生初の丸坊主になりました(笑)。長男は運良く?わたしのスキカルに当たり、めでたくスパッと五厘刈りに(@゜m゜@)プッ。剃ったような青々したマルコメ君に仕上がりました。スキカルでない今使っているお気に入りのこのバリカンをもらったのも、この散髪大会でのことだったんです。わたしはしばらくスキカルで野球少年たちの頭をカットしていたのですが、息子さんが中学に入って野球をやめて丸刈りをしなくなったと先輩のお母さんが最後の記念に参加されたときににこのバリカンを譲ってもらいました。その先輩のお母さんのプロ仕様のバリカンはわたしたち家庭用のスキカルやホームバリカンしか持たないお母さんたちにはあこがれのバリカン♪(人*´∀`)キャーでした。わたしもときどき貸してもらって野球少年たちの頭で吸い込むように髪を切る見事な刈り心地を楽しませてもらっていましたが、まさかいただけるとは思っていませんでした。このバリカンをいただいてからは、息子たちが悪さをすると、反省の意味を込めて自宅でもちょくちょく五厘刈りをするようになりました。ウィ~ンU( ̄∀ ̄*)ニヤり☆

そんなわたしの家ですが、1年の約束で山村留学の男の子を預かることになりました。わたしの住んでいるところは、田んぼと畑が多い地方の田舎で、都会から山村留学という形で子供たちが毎年やってきます。今年はついに我が家でも受け入れることになったのです。やって来た男の子はマサジくんという名前の10歳で、長男と同い年です。よそさまのお子さんなので、最初の3ヶ月は床屋に行かせて、来た時のままの坊ちゃんカットにさせていたけれど、夏になったし、やっぱり男の子は丸坊主よ!と思い立ちました。実はもうずいぶん前からマサジくんの伸びた髪を見るとマイバリカンがウズウズU(`ω´)のわたし。刈りたいっ♪(笑)。いつものように玄関先で息子たちの頭をバリカンで刈り終わった後、その様子を面白そうに見ていたマサジくんに「マサジくんも髪を切ろうね」と笑顔(*⌒∇⌒*)で言いました。「おばさんが髪切るの?」と驚いて言ってきたので、「そうよ。坊主だけどいいわね?」と言いました。マサジくんはちょっと顔をくもらせました。やっぱり坊主はいやなのでしょうか。「さっぱりするわよ」とか「似合うと思うわよ」とか言ったが、なかなか「うん」と言いませんしょうがないので、「じゃあ、今からカズタカ(長男)と腕ずもうしなさい。負けたらバリカンよ♪」と条件を出してみました。マサジくんは乗り気じゃなかったようですが、カズタカがその気になって、しきりにやろうと勧めました。カズタカたち兄弟にしてみれば自分たちだけいつもわたしのバリカンで坊主にされるのは面白くないのかもしれません。マサジくんはしょうがなくカズタカと腕ずもうをすることになりました。食堂のテーブルでわたしがレフリーをしてよーいどん。結果は、マサジくんの負け。バリカンくんです♪(* ̄ー ̄)フフ。vマサジくんはしぶしぶ玄関先に作られたママさん床屋の散髪椅子にすわりました。マサジくんに聞くと、丸刈りは生まれて初めてとのこと。ますます腕が鳴ります(笑)。

マサジくんは、坊ちゃんカットが伸びて、耳にかかるくらいの髪になっていたので、わたしから見るとかなりうっとうしかったです。長い髪が好きな男の子には申し訳ありませんが、男の子の散髪はバリカンで心置きなくバリバリ短くカットするのがわたしのポリシー(笑)。マサジくんも息子たちと同じ3ミリの丸刈りに決定です。とっても不安そうなマサジくんに「だーいじょうぶ、坊主頭、似合うって♪」(〃^∇^)o彡などと軽く言いながら、カット開始です♪マサジくんくらいの長い髪を一気に丸坊主にするのはひさしぶりなのでワクワクしながらバリカンを入れます。♪ウィ~~ン・・・ジョリジョリジョリィィィ~~~ッ♪うなるバリカンがマサジくんの髪に容赦なく進みます。最初にバリカン入れるのって、ひたいのところからじゃありません?失敗したら取り返しがつかないようなところから入っちゃうんですよ(笑)。バリカンが進むにつれてマサジくんの長い髪の毛が下に敷いた新聞紙にバサバサと落ちていくのが快感です。バリカンで伸びた髪を「ジョリ、ジョリ」と音をたててカットする感覚が楽しくて仕方がありませんU(*^・^*)。わたしはバリカンを動かしながら「マサジくん、だんだん頭が涼しくなってきたでしょ?」と言いました。マサジくんはわたしのバリカンの容赦ない刈りっぷりに圧倒されたのか、呆然としています。「坊主はさっぱりしていいわよ~」わたしはマサジくんの機嫌をとろうと話し続けました。長い髪の最後のひとふさをゆっくりとバリカンで刈り落とすと、だいたい全体が刈り終わりました。「最後に仕上げするから、もうちょっと待ってね」そう言って、マサジくんはもうすでに立派なくりくり坊主になっていましたが、わたしはさらに何度も、マサジくんの頭のすみずみにバリカンをかけました。マサジくんは放心状態。ちょっと可哀想ですが丸刈りが初めての男の子の場合、最後にこんなふうに刈り残しのないようにバリカンを頭全体にかけられるときが実は一番つらいらしく、わたしはそのときの表情を見ながらバリカンを入れるのが好きなんです。(* ̄∀ ̄*)きゃ~♪マサジくんの刈りたての丸刈り頭を眺めながらわたしはバリカンのスイッチを切りました。「はい、マルコメ君のできあがり♪」わたしは手カガミをマサジくんに見せた。マサジくん顔はだんだんゆがんでいきました。「こんな、こんなハゲ頭、カッコ悪い…」マサジくんがつぶやきました。たしかに都会的だったマサジくんは、バリカン後は、すっか田舎のジャガイモくんになっていました。( ̄m ̄〃)ププッ…♪わたしは「あらっ、さっぱりしたじゃない。カッコイイいいよ」と、今にも泣きそうになったマサジくんの坊主頭を撫でながら、あっけらかんとした笑顔(*^▽^*)で言いました。「やっぱり男の子は坊主が一番ね」そう言って、わたしは両手でマサジくんの頭をぐりぐり撫でまわしました。マサジくんは恥ずかしそうに照れて顔を赤くしました。カズタカと弟のソウタは、自分たちと同じ丸刈りになったマサジくんを見て、満足そうでした。以来毎月、マサジくんもわたしのバリカンのお世話になっています(笑)。これで床屋代は要らなくなりました(v^ー°)。

記事作者:加来典誉
公開日:2022年10月23日(日)個別ページ
カテゴリー:小説 

親子3人反省カット

昔の話をします。わたしの母は小さな弁当の仕出し屋を経営していて、母の手ひとつでわたしと弟を育てていました。経済的にも決して余裕がある方ではありませんでしたが、母の古くからの友達で由紀子さんというひとが近くで理容室をやっており、母とわたしと弟は髪を切るときはいつも由紀子さんの理容室に行っていました。母とわたしはロングヘアーにしているがほとんどで、毛先を整えてもらうようなカットと、顔剃り、弟は普通のショート、夏はスポーツ刈りにしてもらっていました。どこのおうちにも独特のルールというのがあると思うのですが、わたしたちの家族の場合、弟が何か失敗や悪さをすると弟は頭を丸めなければならないというルールがありました。テストの点数が低いとか、忘れ物が多いとか、弁当の仕出しの手伝いをわざとさぼったとか、何かにつけて弟は丸刈りになっていました。最初はずっと母は自分の手で弟を丸刈りにしていましたが、一度、わたしが母に頼まれて弟を丸刈りにしてから以降は、わたしが志願(?)して弟の丸刈りを担当するようになりました。バリカンで人の髪を刈るのはかなり楽しく、半分泣きべそをかいている弟を尻目に、クスクス笑いながらバサリバサリと髪の毛を豪快に刈り落としていくのは姉としてのお楽しみでした。愛のムチならぬ愛のバリカンかな?(笑)。弟がちょっと嫌がってる姿がまたかわいくて♪(チョイSなんです、わたし。)髪を全部刈り取られたばかりの弟の目の前でわたしのロングヘアーを見せびらかして弟が怒るのを面白がったりしたこともありましたっけ。家にバリカンがあるなら毎回、丸刈りでいいんじゃない、とも思うのですが、せっかく由紀子さんが安くカットしてくれるので弟はちゃんと由紀子さんのお店に行っていました。弟はいつになっても丸刈り(ただの丸刈りでなくつるつるの丸坊主なので)はいやらしく、バリカンでの丸刈りの刑はそれなりに効果があったようです。でも弟は馬鹿なのでちょくちょくわたしのバリカンで丸刈りになっていましたが(笑)。わたしが弟と同じような失敗をしても母から口でとがめられるだけでした。一応女の子でしたので。

でも一度だけ、忘れられない思い出があります。わたしも母から髪を切るように言われたことがあるんです。わたしが中学2年生だった冬の話です。弟は小学5年生でした。弁当の仕出しを手伝っていたのですが、長期の契約で団体で頼まれている大口のお客さんから弁当の中に髪の毛が入っているとひどくクレームがあり、お客さんが持ってこられた髪の毛の長さから言ってわたしの髪の毛ぽかったのです。本当にそうかはわからないのですが。どうやって謝りにいこうかとよくよく考えた母は、背中までのロングヘアーだったわたしに髪を短く切るように言いました。わたしは大事に伸ばしてきた髪だったのでやっぱり嫌でした。母に「雪絵はショートカットは初めてね。いい機会だから、さっぱり短くしてもらいなさい」と言われて、由紀子さんの理容室にしぶしぶ行きました。母の方からもすでに由紀子さんに電話がかかっており、行ってみると由紀子さんは事情を知っていました。「お母さんから聞いたわ。今日は短くするけど」と由紀子さんに言われました。わたしは正直に「あんまり短くするのはいやなんだけど」と言いました。「やっぱり?でも謝りに行くんでしょ。バッサリいっちゃわないといけないだろうね」「由紀子さんはどう思うの?」「わたしは普通のショートカットでいいんじゃないかと言ったんだけど、お母さんは刈り上げにしたほうがいいんじゃないかって」「刈り上げ!?」「刈り上げなら反省している気持ちが伝わるかもしれないって」「でも刈り上げは抵抗ある・・・」「じゃあ、後ろを刈り上げたオカッパはどう?」「・・・」「ショートカットなら男の子みたいになっちゃうけど、刈り上げのオカッパなら女の子らしくていいと思うわよ」ということで刈り上げボブにすることになりました。切った髪を証拠としてお客さんに見せるため、背中まであったロングヘアーをヘアゴムで一つ束ねにして一気に襟足の位置でぶつ切りにされました。そしてあらくボブにされた後、襟足をバリカンで刈り上げられたあと耳たぶが少し出るラインくらいで切りそろえられました。前に書いたようにわたしはバリカンで弟の頭を刈ったことありましたが、バリカンが自分に使われるのは初体験でした。バリカンが襟足に入って首筋にバリカンの振動が伝わってくると悔しくて思わず涙ぐんでしまいました。その場にはいたわけではないけれど、いつもはわたしに笑われながらバリカンで頭を剃られてしまう弟に逆に笑われているような気がしたんです。前髪もきっちり眉上1cmくらいでカットされました。これだけでもショックでしたが、でもまだ終わりじゃなかったんです。カットが終わる頃に母がどうなったか見に来ました。すると「雪絵、ショートカットにするように言ったでしょ・・・。オカッパにするなら、前髪はもっと短い方がいい。後ろはもうちょっと上まで刈り上げた方がいい」と言われました。信じられませんでした。母の指示で短いオカッパはさらに短くなり、耳が半分以上出る長さ、前から見ると目よりも少し下のラインくらいでクルッと一直線に切られ、その下はすべてバリカンで刈り上げ、眉上3cmという屈辱のワカメちゃんカットでようやく母も納得しました。半分泣きそうになりながら「お母さん、こんな髪じゃ明日から学校行けないよ」とわたしが言うと、「偉かったね。でもこれで許してもらえると思うわよ」と言われました。襟足の刈り上げがさわるとジョリジョリしていてかなりショックでした。

家に帰ると、弟から大笑いされました。わたしはすごく悔しくて部屋で大泣きしてしまいました。翌日学校では大騒ぎでした。仲良しの女の大親友は複雑な表情をしてました。そうでもない友達と先生からは「うわーワカメちゃんだ、かわいいっ!!」て言われたけれど、やっぱり素直にそうは思えませんでした。学校から帰ってみると、ロングヘアーだった母が、ベリーショートになっていました。母も由紀子さんに髪を切ってもらったそうです。母は襟足とサイドをかなり上まで刈り上げ、耳も全部出ていました。思わずわたしは泣いてしまいました。母は「お母さんは大丈夫よ。雪絵、ごめんね大事な髪だったのに」と言ってわたしを慰めてくれました。そして全然関係ないはずなのに、弟もマルコメになっていました。わたしの気持ちを思って、母が弟の頭にバリカンを入れたようでした。弟は相当、嫌がって逃げまわったみたいですが、最後につかまって母に刈られたそうです。ひさしぶりの丸坊主に弟もすっかりおとなしくなっていました。傷ついたわたしを思う母の心づかいは嬉しかったですが、さすがに青く光る頭の弟が可哀想でした。母にマルコメにされたおかげでもう弟もわたしの頭を見て笑ったりはしなくなりましたが。その日にお客さんのところに3人で出向き、謝りました。短髪&坊主の3人が歩いている姿はきっとかなり変だったと思います。帽子をかぶる習慣がなかったので、短い髪の毛で3人とも冬の寒さがかなり頭にきてました(笑)。切ったわたしと母の髪の毛の束をお客さんに見せました。お客さんは「もういいですよ。そこまでする必要はなかったのに・・・。契約は続けさせていただきますから」と気の毒がっていました。強烈な思い出として残っています。でも、こういう苦労を共にしてきた母、わたし、弟、3人は今でも大の仲良しです。

記事作者:加来典誉
公開日:2022年10月23日(日)個別ページ
カテゴリー:小説 

わがやの娘たち

わたしは自他ともに認める断髪フェチ。39歳2女の母である。自他といっても、わたしの断髪フェチは、旦那も知らないし、ネットを通じて知り合った断髪フェチの友達にしか知られていない。わたしは人の髪をバッサリ切るのに快感を覚えてしまう。でも自分の髪が切られるのにはあんまり興味がない。ちなみにわたしの髪は自慢のロングヘアである。他人には短髪を強制するが自分の髪は長いのが好きなのである。我が家の娘2人の髪型は、小さい頃から、ショートカット。決まりというわけではないのだが、中学3年の長女と、小学校6年生の次女は今でもショートカットだ。ずっとわたしがジョキジョキ散髪してやっている。子供は大きくなってくると、親の趣味を押し付けるのが難しくなるのだが、我が家の場合は、娘2人とも小学校低学年からずっとソフトボールをさせているので、短髪が好まれる。娘たちにソフトボールをさせたのは、ショートカットを余儀なくされるという確信犯的なところもあったのだが、わたし自身が肝っ玉母さんの体育会系なので、自然な流れだったとも言える。長女の場合は、わたしに髪を切られるのを嫌がっていたこともあったが、一度も美容院や床屋などには行かせていないので、長いことわたしに散髪されて、いまではわたしの素人床屋に慣れきってしまい、いまさら美容室に行こうなんていう気も起こらないみたいだ。我が家では月に一回、娘たちの散髪することになっている。洗面所に新聞紙を敷いて、椅子を置いて即席の断髪台のできあがりである。わたしのような断髪フェチとしては、普通のショートカットだけでは物足りない。そこで梅雨に入ってジメジメしだすと、娘たちの髪型は、きっぱり「刈り上げ」カットである。我が家の「体育会系刈り上げショートカット」は長女の小学5年の夏から始まった夏の散髪の特別メニューである。お母さんの強い味方、刈り上げ用スキカルで娘たちの髪の毛は、すぱっと刈り上げに。スキカルは男の子の丸坊主だけでなく乙女の刈り上げにも大活躍してくれるすぐれものの電気バリカンなのである。最初買ってきたときは、娘たちを驚かせないようにスキカルを見えないところに隠していたのだが、散髪当日は、「夏だから、今日はいつもより短くするよ」と娘たちに断髪宣告。長女は予想通りスキカルを見てびっくりして、「お母さん、どうするつもり?」と言ってきたが、わたしは「今日は、これで刈り上げにしてあげるからね」とニコニコ。長女は、「バリカン??ちょっと、刈り上げは勘弁して」と言ってきたが、「バリカンが怖いの?あんたたちは髪も多いし運動して暑いから夏は刈り上げにしたほうがサッパリしていいじゃない」と強硬姿勢。こうなると娘たちは逆らえないことを知っている。耳にかぶさりかけていた長女の耳周りの髪の毛にスキカルが入り、バサリバサリと軽快な音を立てて刈っていく。快感である。初めてのバリカンに長女はびびりぎみ。耳周りと襟足をあらかた刈り上げ終わり、ハサミに持ち替えて前髪も短くカット。その後、スキカルのアタッチメントを外して、襟足ともみあげの産毛を全部剃ってやる。次女も例外なく、同じヘアスタイルに容赦なく刈り上げる。さらに襟足の刈り上げを女らしくしてやろうと、首の真ん中のぼんのくぼの両脇に飛び出している毛をスキカルでジョリジョリ剃ってやり、「W」の形の襟足を「V」にしてやる。これも娘の女心を思う母の優しさである。ぶつぶつと黒い剃り跡が残ってしまうのはご愛嬌。散髪したての娘たちの刈り上げはさわるとジョリジョリチクチクとして気持ちいい。まぁ、こんなドSのわたしに娘たちはよく付き合ってくれると思う。娘たちは本当にかわいい。ちょっと生意気な長女ももちろん。次に体験したいのが男の子の丸坊主。誰か刈らせて〜♪

記事作者:加来典誉
公開日:2022年10月22日(土)個別ページ
カテゴリー:小説 

女性理容師の妄想

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短い髪は好き?
こわがらなくても大丈夫。
きっと似合うよ。
男の子も女の子も、みんなそろって、ヘアカット。
いやだなんて、それはくわずぎらい。
カットしてみると、思わず、ニッコリ。
みんなそうだから。
あんなにいやがってたのにね。
わたしが、バリカンを持つと、始まる、にらめっこ。
ウィーン、ジョリジョリジョリ・・・。
くやしそうな顔で、髪が刈り落されていく。
できあがった坊主頭をひとなですると、ほら、ニッコリ。
わかってました。
ハサミとクシが登場すると、また始まりました、鏡から目をはなすいつもの仕草。
シャキシャキ、パサ、パサ。ジョキジョキ、バサ、バサ・・・。
うらめしそうな目で、わたしのロングヘアを見つめるいたいほどのまなざし。
ごめんね、わたしだけ長い髪で。
短くなったオカッパ頭に、ドライヤーをかけると、そよぐ毛にかくれて、思わずニッコリ。
わかってました。
だから大丈夫!
勇気をもって、わたしの散髪ケープに包まれましょう。
きっと素敵になれますよ。
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春になると取り出す魔法の小箱。
中身は電気バリカンとハサミとクシと刈布。
新中学生のヘアカットのためだけ用意された大事な道具。
だって、バッサリだもん。
さてさて、ご来店ですよ。
にこにこ顔のお母さん。
「この子を丸刈りにしてください」
待ってました。
「中学生になるんですか」
「そうです」
「おめでとうございます」
うきうきしながら電気バリカンの準備。
男の子の様子をそーっとうかがう。
そわそわしている男の子。
さあ、座ってください、わたしの可愛い天然パーマくん。
わたしが電気バリカンを手に持つと、いつものように始まりました、にらめっこ。
バリカンのスイッチが入りました。
男の子の顔が、一瞬、ひきつる。
ぐっとおさえて、バリカンがおでこから入っていく。
ウィ~ン、ジリジリ、ジジジジジィ・・・。
天然パーマがどんどん刈布、床に落ちていく。
ドサドサドサ・・・。
鏡越しに、天然パーマくん、わたしをにらみつけています。
ふふふ・・・。
わたしの春の断髪専用電気バリカンは、容赦なく天然パーマを次々に刈り取っていく・・・。
ほうら、まるぼうず!
あとは仕上げねぇ。
バリカンのスイッチをいったん切ります。
男の子は放心状態。
手で、頭の上の毛を、パパッと払ってやります。
再びバリカンのスイッチが入ります。
ウィ~ン、ジジジ、ジリジリジリ・・・。
わたしの握るバリカンは、男の子の頭を行ったり来たり。
男の子はなんとも情けない顔で、下を向く。
ふふふ・・・。
さっきの生意気はどこいったの?
こうなるのはわかってました。
さぁ、終わったよ。
さっきの天然パーマは、今では、青々したマルコメ坊主。
くっ、くっ、くっ、笑える・・・。
両手で細かい毛をシャカシャカ払う。
その時見た、男の子のぶすっとした顔。
ワハハ・・・、思わず、わたしは声を出して大笑い。
そしたら、男の子、ますます怒ると思いきや、照れてニッコリ。
わたしは嬉しくなって、男の子の坊主頭を、ペシッとたたいて言いました。
「マルコメ小僧、一丁あがり!」
お母さんも大爆笑。
男の子はますます照れて赤くなる。
マイスイートマルボウズ!
さてさて次のお客さん。
またお母さんと一緒ですよ。
「この子、中学生になるんです。カットお願いします」
「どうされますか?」
「校則でロングヘアはダメなんです。短くカットしてあげてください」
待ってました。
わたしはいそいそと春の断髪専用オカッパハサミを取り出す。
お母さんに、「オカッパがいいですか、ショートカットがいいですか?」と聞く。
「そうですねぇ、お任せします」
「わかりました。では、ショートカットにしましょう」
女の子はわたしをジロリとにらみつける。
ふふふ・・・。
わたしはニッコリしてほほえみ返す。
さあさあ、座ってください。
刈布から、どっさりと引っ張り出される女の子のロングヘア。
ほのかなシャンプーの香り。
クシでしっかりととかします。
その後、春の断髪専用オカッパハサミの登場です。
シャキーン。
ハサミを開いて、クシを片手に構えるわたし。
女の子の顔が恐怖でひきつる。
ふふふ・・・。
また始まりました、鏡から目をはなすいつもの仕草。
シャキシャキ、パサ、パサ。ジョキジョキ、バサ、バサ・・・。
長かったロングヘアは、一気にオカッパに。
オカッパさんは口をぽかんと開けてまぬけ顔。
前髪だってピシッとオンザマユ。
わたしのロングヘアをうらめしそうに見つめるオカッパさんのいたいほどのまなざし。
ふふふ・・・。
さっきの生意気はどこいったの?
その後、こちらも春の断髪専用ショートカットハサミに持ち替えて・・・。
耳の周りをカットします。
サクサクッ、チョキチョキチョキッ・・・。
きれいなお耳が両方とも出ました。
やっぱり、ショートカットは、耳は出す!
後ろの髪を仕上げします。
すこ~し、刈り上げようか・・・。
シャキシャキッ、シャキシャキシャキッ・・・。
チクチク、ゾリゾリ・・・。
電気バリカンも使いたいけど、それは我慢・・・。
でも、ちっちゃいのだったらいいわよね・・・。
ふふふ・・・。
お店の棚をゴソゴソ。
ありました、ちっちゃいバリカン。
スキカルみたいだけど、スキカルじゃない。
立派な業務用バリカンです。
バリカン片手に、スイッチオン!
女の子の顔がさっとひきつる。
だ~いじょうぶ、だ~じょうぶ・・・。
ウィ~ン、ジョリジョリジョリ、ジジジ・・・。
はい、終わったよ。
あ~ら、こんなに短くなっちゃって・・・。
思ってたより、短くなっちゃったわね。
少し青くなってチクチク、ゾリゾリ・・・。
か~わいい~!
さてさて、剃刀の準備です。
うなじともみあげをゾリゾリゾリ。
ピシッとそろってラインくっきり。
さぁ、終わりましたよ~。
刈布をサッと取ると、そこには、ショートカット美人がいました。
短くなった毛では、もうシャンプーの香りはしませんね・・・。
くっ、くっ、くっ、笑える・・・。
「1,500円です」
お金を払うお母さん。
わたしのロングヘアがうらやましいのかなと思い、ショートカット美人の顔を見ると・・・、パーッと明るいニコニコ顔。
わたしは思わず嬉しくなって、ショートカット美人のトップの短い髪をつまみあげる。
「カット前はわたしのこと、ムカついてた?」
「おばさんのロングヘアがくやしかったです」
「今はどう?」
「今もくやしいけど・・・」
「こどもは短い髪のほうが清潔感があっていいのよ」
「そうですか・・・」
「サッパリしちゃって、かわいいじゃない!」
ショートカット美人は思わず照れ笑い。
わたしは思わず、ブローした女の子の短い髪をくしゃくしゃにしてしまった。
ショートカット美人はますますニッコリ。
ワハハ・・・。
わたしは大満足で大笑い。
お母さんも大笑い。
女の子も大笑い。
三人で大笑い。
これがあるから春はいい。
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わたしは長いロングヘアを両手でくくる。
さぁーいくわよ~。
腕まくりしたわたしの手には電動バリカンが握られています。
ジョリジョリジョリ、ドサドサドサ・・・。
となりではポニーテールの先輩ママさんがハサミを握る。
ジョキジョキッ、ジョキジョキッ、ドサドサドサ・・・。
今日は散髪日和。
バリカンの下からにらみつける目線。
鏡越しにハサミとクシをにらみつける目線。
「やっぱりいやなんですかね」
そう言って、二人で苦笑い・・・。
待合室でお母さんたちがニコニコ。
「ハゲ、みーっけ!」
わたしはバリカンのスイッチを止める。
つむじの横に小さな台湾ハゲ・・・。
うふふ・・・。
バリカンのスイッチがふたたび入る。
ウィ~ン・・・。
男の子は目をそらして鏡を見ない。
バリカンのモーターは空回り。
バリカンの刃がゆっくりと毛に近づいてゆく。
ウィ~ン、ジリジリジリ、ジョリジョリ、ジジジジジィ・・・♪
(ギャー、イヤ~ッ、イヤ~ッ、ヤメテー!)
ふるえるまなざしで必死に訴える男の子。
ふっふっふ・・・。
ウィ~ン・・・。
空回りするバリカン片手にわたしはポーズをキメル。
イェイ!ブイサイン。
おとなりでは、先輩ママさんのポニーテールが揺れる。
「首に小さなホクロ、みーっけ!」
女の子のくやしそうな顔。
ザクザクッ、ザクザクザクッ・・・。
肩に垂れていた髪は、今はこんもり床の上。
丸出しになった女の子の首筋にホクロ一個。
「ショートカットにしましょうね~♪」
「長い髪が好きなので、ショートカットはいやです」
「あ~ら、そ~ぉ~。おか~さ~ん♪ショートカットはいかがですか~♪」
「いいですねぇ~♪ぜひお願いいますぅ~♪」
「わかりましたぁ~♪と、いうことよっ!」
ポニーテールの先輩ママさんのブイサイン、イェイ!
「ショートカットはいやです。やめてください」
「だぁ~いじょうぶ、だぁ~いじょうぶ♪校則違反にならないように長い髪はペケペケですよっ!」
ママさんかまわず、ハサミとクシをどんどん動かす。
ジョキジョキッ、ジョキジョキッ・・・。
髪がなくなってふたつの耳が出てきました。
前髪だってきっちりオンザマユ。
先輩ママさんのポニーテールが揺れる。
ママさんバリカンを握ったわたしとゴソゴソ相談。
(ちょっとだけ刈り上げよっか・・・)
(いいですねぇ・・・)
ママさん再びハサミとクシを手に握る。
シャキシャキシャキッ、シャキシャキシャキッ・・・。
チクチク、ゾリゾリ。
「あっ、小さなホクロ、も~いっこ、みーっけ!」
ママさん、クシを刈り上げに透かして、わたしに見せる・・・。
「きゃぁわいぃ~♪」わたしは思わずバリカンのスイッチを切る。
先輩ママさんの得意顔・・・。
わたしの丸坊主は、できあがって、後は刈り残しのチェックだけ。
(ふっふっふ、これからが本番よ!)
バリカンのスイッチが再び入る。
ウィ~ン・・・、ジリジリジリッ・・・、ジリジリジリッ・・・、ジリジリジリッ・・・、ジリジリジリッ・・・。
(イヤーッ、イヤーッ、もうヤメテー!)
わたしのバリカンは男の子の頭をキレイに丸めていく。
となりでは、ママさんが口パクでわたしとコンタクト。
(バ・リ・カ・ン・か・し・て)
動くバリカン片手にわたしとママさんは顔を見合わせて二人ともにんまり。
(ど・う・ぞ)
動いたままのバリカンが先輩ママさんの手に握られる。
「ちょっと、下、向いてくれる~?」
ウィ~ン・・・、ジリジリジリッ・・・。
ウィ~ン・・・、ジリジリジリッ・・・。
ウィ~ン・・・、ジリジリジリッ・・・。
「よし、これでサッパリ!」
(あ・り・が・と)
動いたままのバリカンはそのままわたしの手に握られる。
ウィ~ン・・・、ジリジリジリッ・・・、ジリジリジリッ・・・、ジリジリジリッ・・・、ジリジリジリッ・・・。
鏡に映った男の子の顔は放心状態。
ハハハハハ~♪ざまあみろっ♪
というわけでお話はおしまい。
楽しかった?
その後はどうしたかって?
じゃあ続きね・・・。
できあがったマルコメ坊主をペシッとたたく。
「いっちょうあがり!」
男の子は思わずニッコリ。
(よかったぁ~。これが見たかったの♪)
できあがったショートカット(ちょい刈り上げ)を、先輩ママさんはお母さんたちにご披露。
「かわいい~♪」
女の子は思わずニッコリ。
ニコニコ顔の先輩ママさん。
先輩ママさんとわたしのロングヘアが交互に揺れる・・・。
先輩ママさん、ポニーテールを、さっとほどく。
さらぁ~ん。
「見て見て~、わたしの髪のほうが長くなったね~♪」
わたしは思わず、ぷぷぷ。
「むかつくぅ~!」
女の子はぷんすか怒って、その後、ニッコリ。
ほんとにいい笑顔・・・。
わたしだって、と思ったけど、一つ結びのロングヘアはくくられたまま・・・、と思ったけど、ま、いいや・・。。
さらぁ~ん。
ウフフフフッ・・・。
ママさんとわたしは二人で大笑い。
そしたら、お母さんたちも大笑い。
ホホホホホ・・・。
そしたら、女の子も大笑い。
ヘヘヘヘヘ・・・。
照れちゃってもう、かわいいたらありゃしない。
そしたら、マルコメ小僧まで大笑い。
ワハハハハ・・・。
これが理容室ゆりの春先です。
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春ですね。
中学入学です。
鏡の奥でわたしをにらみつけるロングヘアの女の子・・・。
またですか・・・。
わたしのシュシュでくくって胸に垂らしたパーマのロングヘアが気になっている様子・・・。
生意気・・・。
サッパリ刈ってやりたい・・・。
となりではストレートの黒髪ロングヘアの店長が男の子の坊主頭をじっくりと電気バリカンで仕上げしている。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジリジリッ、ジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
店長はうっとりした目で動く電気バリカンを見つめている。
わかるなぁ・・・。
こいつはオカッパをオーダーしてきやがった。
つまらない・・・。
徹底的に短くしてやりたい。
やっぱこういう子は、ショートカットでしょ。
どうしようかな・・・。
「店長、ちょっと・・・」
ごちょごちょごちょ・・・。
店長とわたしはニンマリ・・・。
店長が言いました。
「お嬢ちゃん、ショートカットにしてみない?」
「いやです」
「どうして?」
「長いのが好きだから」
「じゃあ、お母さんに聞くよ・・・」
「お母さ~ん♪春らしくさっぱりとショートカットはいかがでしょう?」
「そうですねぇ~。ぜひお願いします」
「ほらね♪」
「じゃあ、あとはよろしくね♪」
「わかりました~。腕が鳴りますぅ~♪」
ジョキッ、ジョキッ、ジョキジョキッ、ザクザクザクッ・・・♪
ふーっ、ぱっくりオカッパになりました。
女の子の顔を見ると・・・。
口をパクパク、目をパチパチ・・・。
わかってるのよ、みんなこうなんだから・・・。
ざまぁみろ♪
ここからよ・・・。
チョキチョキッ、チョキチョキチョキッ、シャキシャキッ・・・♪
あっという間に両耳が出ました。
ふっ、ふっ、ふっ・・・。
ちょっとだけ刈り上げちゃおっか?
いいよね・・・。
と思いながら、わたしのハサミとクシは、勝手に動く。
シャキシャキッ、シャキシャキッ、シャキシャキシャキッ・・・♪
生え際から2センチくらいを短く刈り上げ・・・。
チクチク、ゾリゾリ・・・♪
ざまぁみろ♪
仕上げはバ~リカン~♪
中学女子の刈り上げ専用電気バリカンの登場です。
ちなみに当店では中学男子の丸刈り専用電気バリカンとは別になっております。
乙女のためのバリカンです・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
女の子の顔を見ると・・・。
くやしそうにひきつった表情・・・。
うふふ・・・。
これでスイッチを止めようと思ったけど・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
だいたい生意気なのよ・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
こういう子はねぇ・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
サッパリと・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
ウィ~ン、ジリジリジリッ、ジョリジョリ、ジリジリジリッ・・・♪
刈り上げ!
ジリジリジリッ、ジリジリジリッ、ウィ~~ン・・・♪
わたしはゆっくりとバリカンのスイッチを止める。
できあがった刈り上げを眺める・・・。
チクチク、ゾリゾリ、チクチク、ゾリゾリ、ゾリゾリ、チクチク・・・。
生え際から2センチの毛が、青々と刈り上がりました・・・。
ざまぁみろ♪
きゃぁわぁいい~♪
「店長、思い切って春らしくちょっとだけ刈り上げてみました。どうでしょう?」
「あらぁ、こんなに青々しちゃって・・・。でも素敵ねぇ♪百点満点♪」
「ありがとうございますぅ♪中学生なので、青々と短く刈り上げたほうが清潔感がありますし、なにより春らしいですよね・・・」
「そうねぇ、その通りよ。とっても素敵に変身しましたね。やぼったいロングヘアとは見違えるほどかわいくなりましたね・・・」
「お母さん、どうですかぁ?」
「うふふ、とっても可愛くなりました。よかったわね・・・」
あとは剃刀で仕上げ・・・。
しっかりと剃ってやらないと。
ゾリゾリ・・・、ゾリゾリ・・・、ゾリゾリ・・・。
もみあげも、襟足も、ラインきっちり、キレイに剃り上がりました。
ふっ、ふっ、ふっ・・・。
ざまぁみろ♪
生意気な背中までのたっぷりしたロングヘアーがすっかりなくなって、今ではサッパリとショートカット美人・・・。
素敵です・・・。
いよいよ断髪式も終了です。
「おつかれさまでした」
わたしはさっとピンクの刈布を取りました。
あらためて、そこにいたのは、驚くほど清潔感のあるショートカット美人・・・。
これでいいのよっ・・・♪
「どう?」
ショートカット美人はじっと黙っている。
「きゃぁわぁいい~じゃな~い♪余計なロングヘアがすっかりなくなって、すごくキレイよ・・・」
ショートカット美人はニッコリ・・・。
わたしは、胸に垂らしたパーマのロングヘアのシュシュをサッと外して、髪を後ろに、さら~ん、となびかせた。
「ロングヘアがうらやましい?」
ショートカット美人は、ぷーっと赤くなってむっつり顔・・・。
ワハハハ・・・。
わたしは大爆笑。
店長も、ストレートの黒髪ロングヘアを、さら~ん、となびかせた。
お母さん大爆笑。
ショートカット美人も一緒にみんなそろって大爆笑。
ほんとによかったね・・・。
これがあるから床屋はやめられない。
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さてと、心の準備はいいかしら?
わたしは電動バリカンのスイッチを入れる。
ウィ~ン・・・。
「さぁ~、髪の毛にサヨナラしようね~♪」
ウィ~ン、ジジジ、ジョリジョリ、ザリッ、ジジジ、ジョリジョリ・・・。
うっふ~ん♪
男の子はくやしそうな目で、わたしをにらんでいる・・・。
半分刈り終わりました。
ウィ~ン、ジョリジョリ、ジジジ、ジョリジョリ・・・。
全部刈り終わりました。
でもまだ続く・・・。
ウィ~ン、ジリジリジリ、ジョリ、ジリジリ、ザリザリ・・・。
バリカンは男の子の頭を行ったり来たり・・・。
ウィ~ン、ザリザリ、ジリジリ、ジョリ、ジジジジジィ・・・。
ハイ、ボーズ!
中学入学おめでとうございます。
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さあおいで、ボーイズアンドガールズ!
長い髪へのこだわりを捨てましょう。
丸刈りになる時、何かが変わる・・・。
オカッパ、ショートカットになる時、何かが変わる・・・。
ウィ~ン、ジョリジョリジョリ、ザリザリザリ、ウィ~ン・・・。
ジョキッ、ジョキッ、ジョキッ、ザクザクザクッ・・・。
ほ~ら、むすっとしないで、笑顔、笑顔!
サッパリしたねっ♪
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頭を刈ろう!!
丸刈りはこわくない!!
さっぱりしよう!
バリカンが入る時、何かが変わる。
中学入学おめでとう。
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春が来た!
ヘアカットだ!
バリカンくんの登場です。
ウィ~ン、ジリジリジリッ・・・。
あっという間に丸坊主。
ハサミとクシがダンスします。
長い髪は、いまでは、半分なくなりました。
ジョキリ、ジョキリ、ジョキリ。
あたらしい髪のラインは、耳たぶ下1センチ。
さっぱりしたね。
オカッパ頭に春が来た。
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さっぱりしましょ。
丸刈り、オカッパ、ショートカット。
素敵です。短い髪。
中学入学おめでとう。
女性理容師が優しくカットします。
こわがらないで!
長い髪にも、しばらく、サヨナラ・・・。
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オカッパ、ショートカットになって、お姉さんになろう。
バッサリ、髪を切ると、何かが見える・・・。
丸刈りになって、お兄さんになろう。
バリカンなんてこわくない!!
新中学生おめでとう。
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頭を丸めて元気になろう。
バリカンくんがお手伝い。
肩上、オンザマユは当たり前。
首筋を通る風が気持ちいい。
ロングヘアはうっとおしい!
中学入学おめでとう。
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ヘアカットが好きになる。
丸刈り、ショート、オカッパ。
短い髪もいいもんだ。
バッサリ切って、心機一転。
中学入学おめでとう。
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カット、カット、カーット!!
短くカーット!!
髪切りママの大サービス。
バリカンだってこわくない。
ジョキジョキ、ハサミだってこわくない。
バッサリいって、いいんじゃな~い♪
中学入学おめでとう。
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自慢のロングヘアにハサミが入る・・・。
チョキ、チョキ、チョキ。
できあがったオカッパ頭が初々しい。
カッコいい天然パーマに電気バリカンが入る・・・。
ウィ~ン、ジョリジョリジョリ、ジジジ。
できあがった丸刈り頭が初々しい。
中学入学おめでとう!!
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丸刈り君、おかっぱちゃん、ショートカットちゃん。
長い髪はどこに置いてきたの?
えーとね、カットサロンみわりに置いてきた。
散髪大好きママにカットしてもらったよ。
魔法の力で、電動バリカンが大活躍。
ハサミだって大活躍。
男の子や女の子の長い髪を、バッサリとカット。
なんだかサミシクなって、涙がポロリ。
いがぐり頭をひとなでして、「はい、できあがり」。
おかっぱ、ショートカットがこわかった・・・。
サッパリしたね。スッキリしたね。
こころもあたまもか~るくなって、かわいいね。
新しい門出に、カットサロンみわりからの贈り物。
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バリカンさん登場です。
ウィ~ン、ジョリジョリジョリ・・・。
まぁるくなりました。
ハサミさん、クシさん登場です。
チャキ、チャキ、チョキ、チョキ、ジョキ、ジョキ・・・。
かぁるくなりました。
男の子も女の子もそろって断髪式。
理容ひまわりは、新中学生を応援します。
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ジョキリジョキリ、ザクザク・・・。
オカッパ頭のできあがり。
ウィ~ン、ザリザリザリ・・・。
坊主頭のできあがり。
中学入学おめでとうございます。
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サクッと坊主!
サクッとオカッパ!
サクッとショートカット!
新入学おめでとう。
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グリグリバリカン。
ギョリギョリハサミ。
あなたの何かが変わる。
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バッサリカットしましょう。
自慢のロングヘアーで来店しましょう。
カッコいい天然パーマで来店しましょう。
わかってます、つらいんでしょ。
わたしのお店はあなたの味方です。
ジョキジョキ、ジョキジョキ・・・。
ウィ~ン、ジジジジ・・・。
落ちていく髪の毛を見るあなたのまなざし。
半分おわりました。
鏡の奥でわたしのロングヘアーが踊る。
できあがったオカッパの毛先がわたしの指先で、チョキチョキチョキ。
できあがったイガグリに、バリカンが行ったり来たり。
あんなにいやがっていたのに、今はニッコリ。
散髪が終わって、晴れやかに店を出るあなたの姿が見たい。
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サッパリしよっ。
ロングヘアーにハサミが入る。
ジョキジョキジョキ・・・。
天然パーマにバリカンが入る。
ウィ~ン、ジリジリジリ・・・。
鏡ごしに見えるむっつり顔。
落ちていく毛をじっと見つめるむっつり顔。
わたしは笑顔で、ハサミを動かす、バリカンを動かす。
いやがるあなたがかわいかったり。
でも、散髪が終わったら、みんな笑顔。
これ、わかってるの。
わたしのロングヘアーが肩に揺れる。
うらやましいのかなって思うけど、ショートカットになったあなたの視線は温かい、丸刈りになったあなたの視線は元気いっぱい。
これだからやめらられない。
新中学生の断髪式。
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バリカン片手に追っかけるぞ。
全員、丸坊主!
ハサミを片手に、クシを片手に追っかけるぞ。
全員、肩上、オンザマユ!
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バリカンが鳴り出しました。
店長のおばさんをにらみつける男の子。
ハサミとクシを用意しました。
わたしをにらみつける女の子。
さあさあ、ヘアカット。
ウィ~ン、ジョリジョリジョリ・・・♪
シャキッ、シャキッ、ジョキッ、ジョキッ・・・♪
あっという間に丸坊主。
あっという間にショートカット。
ニッコリ笑って、はいポーズ!
よくできました!
中学入学おめでとう。
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長い髪にサヨナラしましょ。
髪切りま専科。
おふたかた、どちらもお母さんに手を引っ張られてのご来店です。
男の子と女の子。
天然パーマが自慢の男の子。
ウィ~ン、ジョリジョリジョリ・・・。
ロングヘアが自慢の女の子。
ジョキジョキジョキ、ザクザクザク・・・。
青々した丸刈り君のできあがり!
こけしのようなオカッパさんのできあがり!
鏡の奥で二人ともニッコリ。
あんなにいやがっていたのに嘘みたい。
サッパリした頭に春の風・・・。
またのご来店、お待ちしております。
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春です。断髪式の季節です。
「また来てねー」
中学三年生のともこちゃんが帰っていきました。
髪型はいつもの短いオカッパ頭。
しばらくして・・・。
女の子が泣きべそかいてお母さんとご来店。
カールの入ったロングヘアが自慢の女の子。
はっはーん・・・。
「こんな安い床屋でカットするのやだ」
生意気な子だな・・・。
安いけどキレイなお店なのにな・・・。
「この子のカットお願いします」
「どんなふうにしましょうか」
「中学の校則で短くしないといけないので、オカッパかショートカットにお願いします」
「わかりました。どちらにお住まいですか?」
「最近、東京からこちら(埼玉)に引っ越して来ました」
「何年生ですか?」
「中学二年生です」
なるほど、そんな感じがした。
都会のお嬢さんかな。
「さあ、こちらへどうぞ~」
「いやっ、わたしは行かない!」
「わがまま言わないの!」
「絶対にイヤ!」
これは大変だぞ。
こういうこと、たまにあるのよね。
どうするかしら・・・。
ここは強気にいきましょう。
「あなた、さっき安い床屋って言ったわよね、それ、どういうこと?」
「わたしの髪は安い床屋には切らせない!」
「じゃあどこで切ってもらうの?」
「〇〇(有名美容室)」
「お母さん、〇〇に連れていかれたらどうですか?」
「もうそんなお金はありません。主人が事業に失敗して・・・」
「そうですか・・・。お嬢さん、安くてもいいお店はあるのよ」
「いやっ、いやっ、いやっ・・・」
「お嬢さんは前は〇〇に行かれてたんですか?」
「何度か・・・」
「お嬢さん、あなたもこれからは庶民の仲間入りですよ。庶民らしい髪型になりましょう」
(わたしって意地悪かしら・・・。わざと言ってみたんだけど・・・。)
この子をここで田舎の女子中学生に大変身させましょう。
♪カントリーガールにあなたはなるのよ~♪
「庶民らしい髪型ってなんですか?」
「肩につかない動きやすい髪型よ」
「おばちゃん、ロングヘアだよ」
「わたしは大人だからいいのよ。庶民のこどもはオカッパとかショートカットとか短い髪がいいの」
「そんなのやだっ!」
「だったらお嬢さんのオカッパはどう?」
「そんなのあるの?」
「あるわよ。とってもかわいいのよ」
「どんなの?」
「刈り上げのオカッパよ」(戦前の話・・・)
「刈り上げ・・・」
「どう?」
「やだっ!」
「お母さん、どうですか?」
「お値段は変わりませんか?」
「同じですよ」
「だったらお願いします」
「さぁ、行こう!」
「やだっ!」
「わたしだって〇〇の美容師に負けないくらい上手なのよ」
「田舎のダサいおばちゃんなんかにカットされたくないっ!」
パチーン!
わたしは思いっきり女の子の左のほっぺたをひっぱたいた。
女の子はくやしそうにわたしをにらみつけた。
「お嬢さんだって貧乏になったら、分相応の髪型になるのがスジってもんよ。ケジメをつけましょう」
(ちょっと意地悪が過ぎますかね。ふざけて言っているんですよ・・・)
「絶対にイヤっ!」
「いい加減にしなさい!」
「くそばばあぁ!」
パチーン!
「なにすんのよ!」
パチーン!
「ちょっ・・・」
パチーン!
「やめっ・・・」
パチーン!
「アーン!」
わたしはそのまま鼻水だらけの女の子を散髪椅子に連れていく。
さっとピンクの刈布を女の子にかける。
(〇〇では刈布なんて言わないわよね・・・)
タオルを首に巻いて、断髪式の準備完了。
これから先は、何十回もやってきました。
さあさあ、みなさん、お立会い~♪都会の生意気娘が田舎の女子中学生に大変身ですよ~♪
オカッパハサミをエプロンから取り出す。
これは女の子の断髪式の強い味方。
これで何十人もの新中学生の女の子のロングヘアをオカッパにカットしてきたんだから。
切れ味抜群の優れもの。
何十人もの新中学生の男の子の髪の毛を丸坊主に刈ってきた電気バリカンと同じくわたしのお気に入り・・・。
こちらもどんどん刈れるパワフルバリカン。
春の時期は、どちらも大活躍です。
断髪っていいわ・・・。
オカッパハサミをしばらく眺めて、ふーっとため息。
霧吹きで女の子の髪を軽く湿らせてから、丁寧にクシでとかす。
いよいよカットです。
ザクザクザクッ、ザクザクザクッ、ジョキジョキッ、ジョキジョキッ、バサバサッ、バサバサッ・・・。
あっという間にオカッパ頭・・・。
カールした毛はすっかりなくなりました。
これでこそ清く正しい田舎の女子中学生!
さぁーて、どうするかしら?
これでおしまいかしら?
なんだかつまらない。
金持ち娘が貧乏になって庶民の仲間入り。
反省としてケジメをつけさせないと・・・。
わたしは短くカットするのが好きなのよね。
やっぱり、刈り上げ・・・。
うふふ・・・。
きっぱり刈り上げでケジメをつける!
お嬢さんのオカッパ(戦前)にしてあげましょう~♪
ワカメちゃんカット(笑)で反省しましょう~♪
黒くてデッカイ新中学生男子の丸刈り用電気バリカンちゃん(女)が待ちきれない様子。
うちの可愛い丸刈り用電気バリカンちゃんは春の時期はいつでもお盆の上。
いつでもスタンバイ。
彼女、ダサい男の子の丸刈りスタイル(3ミリ)が大好き!
どんな毛もスイスイ吸うように刈れる。
固い毛、柔らかい毛、太い毛、細い毛、天然パーマ・・・。
(長い髪は全部刈ってやるわよ~ん♪田舎の男子中学生はイモみたいなダサい丸坊主が一番!)
彼女はわたしと大の仲良し。
(今日は女の子を紹介するわよ~♪)
(ほんと?嬉しい!!)
(彼女、反省でワカメちゃんカットになるのよ~♪)
(どうして反省するの?)
(東京の高級美容室〇〇でヘアカットしてたけど、もうそんなお金はないの・・・。田舎に引っ越して、田舎の中学入ったから、素直に断髪式・・・)
(だったらオカッパでしょ?)
(わたしたち貧乏人を馬鹿にした罰よ。ちがう?)
(わたしたち貧乏だもんね・・・)
(電気バリカンちゃんは田舎の貧乏な男の子ばかりボウズにして、つまらなくない?)
(あたし、都会のシティボーイをツルツルの丸坊主にしてみたい!)
(ははは。その前に、都会の生意気お嬢ちゃんをダサい田舎の女子中学生に変身させなくちゃ!)
(ははーん。楽しみ・・・。ウフフ・・・。わたしたちの仲間入りをさせましょう・・・)
(でしょ~♪)
さぁて決まりました。
男子中学生の丸刈り用電気バリカンちゃん、出番ですよ。
「はい、ぐーっと下を向こうかぁ~♪」
カチャッ、ウィ~~ン・・・。
ウィ~~ン、ジジジ、ジリジリ、ジョリジョリジョリ・・・。
丸刈り用電気バリカンちゃん、大喜び。
乙女の髪に電動バリカンが入る・・・。
いいですね・・・。
どんどんどんどん吸うように毛を刈っていく電気バリカンちゃん・・・。
長かった毛が次々になくなって、青いあぜ道ができていきます。
女の子だって、反省なら、やっぱりバリカンね!
ふっ、ふっ、ふっ・・・。
さぁ終わりましたよ。
電気バリカンちゃん、おつかれさま・・・。
あとは、普通のハサミで、チョキチョキチョキ。
前髪は、もちろん、きっちりオンザマユ。
耳の半分のラインで、クルッと一周、オカッパ頭。
後ろはサッパリと、チクチク、ゾリゾリ、刈り上げカット・・・。
最後に剃刀でうなじをゾリゾリ剃って生え際をきっちり一直線にそろえました。
いいですね・・・。
これでこそ清く正しい貧乏な田舎の女子中学生!
クッ、クッ、クッ・・・、ざまぁみろ・・・♪
うなじの剃り跡が目だってダサダサのワカメちゃんのできあがりっ♪
〇〇でしてもらったカールしたオシャレなロングヘアが今では嘘のよう。
わたしはシュシュでくくって後ろに垂らしていた自分のパーマしたロングヘアを背中でサラッとひとふりした。
そして、女の子を見てみると・・・。
なんとニッコリ!?
喜んでる・・・。
残酷だったわたしの心は吹っ飛んだ。
電気バリカンちゃんがお盆の上でニッコリ。
「かわいくなったね・・・」
「うん」
「気に入った?」
「うん」
「田舎の床屋もいいもんでしょ?」
「うん、ありがとう!」
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やって来ましたこの季節。
さぁいらっしゃい、ボーイズ&ガールズ!
バリカンはいつでもスタンバイ。
断髪ハサミもいつでもスタンバイ。
男の子も女の子も、そろってサッパリ頭。
いやですって?
ちっ、ちっ、ちっ・・・。
あなたのためを思っての断髪式ですよ・・・。
せめてお祝いしたくって・・・。
だ・か・ら・・・。
みーんな、丸刈り!みーんな、オカッパ!みーんな、ショートカット!
素敵です。
男の子へ。
バリカンはこわくない!
バリカンは友達!
女の子へ。
断髪ハサミはこわくない!
断髪ハサミは友達!
バッサリ切って、サッパリ変身!
ご来店、お待ちしております。
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ウィ~ン、ジョリジョリジョリ・・・。ふっ、ふっ、ふっ、ボーズだ・・・。
わたしは電気バリカンにぐっと力をこめた。
ジョリジョリ、ジジジィ、ジョリジョリジョリ・・・。
ざまぁみろ♪
東京から引っ越してきた長髪シティーボーイ。
髪型もオシャレで生意気な感じ・・・。
そんなオシャレな髪の毛も、あっというまに丸坊主!
鏡の奥でわたしをにらみつける落ち武者シティーボーイ。
はっ、はーん、いいんですか、それで・・・。
わたしは替え刃を5ミリから2ミリに変更した。
カチッ!
もう一度、刈り直しだわ・・・。
うふふ・・・。
ウィ~ン、ジョリジョリジョリ・・・。
シティーボーイは真っ青。
わたしはわざと・・・。

「だいじょうぶ?ごめんねぇ~。ちょっと長かったから、伸びることを考えて、もうちょっと短めにするわよ~♪」
ジョリジョリ、ジジジィ、ジョリジョリジョリ・・・。
うっふーん♪
素敵な五厘刈りにしてあげますからねぇ~♪
五厘ピック!
ほ~ら、マルコメ小僧いっちょあがり!
いよいよ中学ですね。
ご来店お待ちしております。
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記事作者:加来典誉
公開日:2022年10月21日(金)個別ページ
カテゴリー:小説 

男の子の丸刈り

丸刈り。男の子だったら一度は経験しますよね。わたしも男だったら丸刈りになってみたい。夏場に青々したマルコメくんを見るとうらやましくなります。それに丸刈りなら床屋さんじゃなくても家で簡単に散髪できますからね。最近、うちの次男もサッパリと丸刈りに♪中学で入部する部活が丸刈り(試合前は5厘刈り)にしなければならないからです。わたしがバリカンで愛情込めてウィ~~ン・・・ジジジジジィ~~ッ♪♪(快感笑)本当は春休みにするはずだったのですが、延び延びになり、今週から部活に1年生も参加する事になっているので、そろそろ覚悟を決めきゃという事になったのです。電気バリカン片手に母さん床屋の開店です!いざっ、散髪!!丸刈り君の巻き!!伸びた髪をバリカンで一気に刈り落としていくのは気分爽快でいいのですが、次男も色気づいてきたのか、バリカンを持ったわたしを前にして、気にすることしきり。次男は小学校のときも何度か1分刈り(3ミリ)にしたことがあるので抵抗はないかと思っていたのですが、やはり嫌なのでしょうかね。慣れてくるとそうでもないのでしょうけれど。バリカンのスイッチが入った時の息子のつらそうな顔が、なんだかカワイイ!!わたしはスポーツ少年らしく楽しい雰囲気でザザッーと刈ってやりたかったのですが、しんみりした断髪式になってしまいました。わたしが操るバリカンは息子の長い髪の毛を容赦なく次々に刈り落としていきます。息子は落ちていく自分の毛にさびそうな眼差し。わたしは心の中で大笑いでした。ものの15分ほどで見事マルコメ君の出来上がりです。「似合ってるわよ!がんばれ、野球坊主!」と元気づけてやりました。ガッと頭を押さえて、バリカンで心置きなく髪を刈り落としていく、そして手のひらでジョリジョリーっと刈りあがったばかりの丸刈り頭の感触を楽しむ、これも息子を持つ母の特権です。

よく昔から、気合を入れるためとか、反省するために丸刈り!といいます。なんといっても丸刈りは男の子だけ。女の子はできませんから。うらやましいです。反省のしるしや失敗の罰としてサッパリと丸刈り頭になった男の子が恥ずかしそうにしているのも、見ていてかわいいです。わたしが中学生のころは女子の髪は自由でしたが、男子は校則で全員丸刈りでした。小学校の卒業式が近づくとそれまで髪の長かった男の子が次々とバリカン頭になってやってくるのは、見ているわたしたちにとっても面白かったです。なんとなくかわいそうだなと思いつつも、できたてのカツオ君たちの頭を撫で回してはクスクス笑ってました。わたしの弟も母が操るバリカンで青々とした丸刈りになりました。生まれて初めての丸刈りに弟は複雑な表情でしたが、母とわたしは大爆笑。母いわくそのときは初めての丸刈りということで記念の意味で一番短い長さにしたそうです。今は丸刈りの校則もだいぶなくなってきていますが、部活によっては丸刈りが伝統になっているところもあったり、悪いことをした罰に丸刈りにされることもあったりと、男の子が丸刈りを経験する機会はまだまだありそうです。強制される男の子はつらいかもしれない電気バリカンによる丸刈りカットも、見ているほうからするとほほえましい光景でもあります。丸刈り校則がだんだんなくなっていくのはさびしいかな・・・。男の子だったら中学になったら一度はさっぱり丸刈りになるのもいい経験じゃないでしょうか?男の子の生まれてはじめてのちょっと恥ずかしい丸刈り姿、わたしはかわいいと思います。髪なんてすぐ伸びますからね。男が髪ぐらいに執着するのはよくないです。男の子なら、髪への執着を捨てさせる意味でも、一度は電気バリカンでの丸刈りを体験させるのがいいと思います。女の子の髪型は自由でいいと思います。女の髪は命。大いに執着すべきです。

長男も中学の時は丸刈りでした。長男の場合、あせもがひどかったので、部活のためではありましたが、丸刈りは良かったと思います。シャンプーも極少量でいいし、丸刈りは経済的でエコな髪型です。うちの場合、長男と次男と長女、三人の髪はわたしがずっとうちで切っているので、長男は高校生になった今は床屋にいくこともありますが、基本的にわたしの家庭床屋に慣れています。もちろん坊主ではなく坊ちゃんカットもやっています。わが家の散髪はひと月に一度のペースです。小学生のころは、夏場は丸刈りということに我が家ではなっていて、特にいつとは決まっていないのですが、わたしが何も言わなくてもハサミでなく電気バリカンだけが出てきたら今日は我が家の夏のお約束、男子丸刈りカットデー(笑)てわかってたんでしょうね。ガーッとバリカンが入り、二人ともくりくりの丸刈り(3ミリ)になりました。やはり嫌がってましたね。そのときはいつも娘が面白がって大笑いしていましたっけ。娘の髪は小さい頃からずっとロングです。散髪も毛先をそろえるだけです。一度、「思い切ってショートカットにしてみない?サッパリするよ」と勧めてみたことがありますが、お流れになりました。女の子なので娘には何も言わないで自由にさせています。

あるとき長男が寝癖を直しているのを見て、わたしが冗談で丸刈りになったばかりの次男に「君も寝癖がひどいよ!」というと、「そうさね、困ったもんだ」と言って、クシで短すぎる髪の毛を笑いながらとかしていました。そんな次男のひょうきんな様子では1分刈り(3ミリ)にもだいぶ慣れてきたかなって感じで一安心しました。でも次男の髪は伸びるの早いので、「また切らなきゃ・・・」って言うと、やはり言います「まだいい!!」って。息子たちの丸刈りには娘もバリカンで時々わたしの手伝いをしてくれます。次男の五厘刈りももうすぐでしょう。次男には内緒ですが、今度、次男にバリカンを入れるのを娘と一緒に楽しみにしています。息子さんの丸刈りなのに床屋さんに行かせるお母さんもいるみたいですけど、絶対、自宅カットがおすすめです。安く上がるし、バリカンでバリバリ刈るのも楽しいですよ(笑)。だんだん触らせてもらえなくなる息子さんの頭をべたべた触れるのも自宅バリカン散髪の良さですね。育ち盛りの男の子はやっぱり丸刈りが一番だと思いますね。

記事作者:加来典誉
公開日:2022年10月21日(金)個別ページ
カテゴリー:小説 

責任カット

以前、引越し先の中学の校則で背中までのロングヘアからオカッパになった話をした続きです。中学時代、ずっとオカッパでしたが、中3の夏休み前に一度だけ耳だしのショートカットにしたことがあります。しかも、刈り上げ…。わたしの通った八女の中学には男子の五厘坊主(通称:マルコメ)だけでなく女子にも悪さをしたときには責任カット(通称:坊ちゃん刈り)というのがあって、まさかわたしがそうなるとは思いませんでしたが、なってしまったんです…。坊ちゃん刈り…。一緒にいた友達がタバコを吸っていたのがばれて連帯責任で女友達全員がダサダサの刈り上げショートカットに。ある意味すごいことですね。あと半年で卒業ということで自由な気分になってたのがうかつでした。高校になったら伸ばせるかもしれないと思うとこの時点での責任カットはやりきれなかったです。タバコを吸っている現場が見つかって、その場でお説教でしたが、月曜日の朝にもう一度職員室に呼ばれました。そこで反省の意味をこめて担任の先生(女性)に責任カットにするように言われました。ショックで言葉が出ませんでした。先生は引き出しからプリントを取り出してわたしたちに配りました。「責任カットのお願い」とあって、内容は「私は中学校で規則違反、また周囲の人たちに迷惑をかけたため、反省のために髪を短く切ることになりました。次のような髪型に散髪してください。1.前髪は眉毛より指二本分上で真っ直ぐに切り揃えてください。2.横の髪は、耳が全部出るように短く切ってください。3.後頭部は襟足を1ミリ程度にしてバリカンでなめらかに刈り上げてください」というようなことが書いてありました。髪を切るのはどこでもいいけれど、髪を切ってくれる人に、必ずこのプリントを渡すように言われました。先輩とか同級生で責任カットになったのを見たことがあったので、どういう髪型になるかはわかっていましたが、こんなふうにプリントを渡されるのは知りませんでした。女の子なのに「バリカンでなめらかに刈り上げてください」とかひどくないですか?悪さをしたら恥ずかしい刈り上げショート、年頃の乙女の…。反省のためだから仕方ないのかもしれませんが。さすがに男子みたいにみんなの前でバリカンで刈られたりとかはないわけですが、それでもこのプリントを渡すのは相当恥ずかしかったです。まあ男子はなにもしなくても校則でバリカンちゃんだから、それを考えたらいいのかもしれませんね。坊ちゃん刈り決定の女友達同士で相談したのですが、髪を切りに一緒に行ったりは恥ずかしいので、別々に行こうということになりました。切ってもらったのは行きつけの床屋さん。初めてオカッパにしてもらったところと同じ南野陽子似の理容師さんのところでした。

髪を切る期限はあさってまで、ということだったので、学校から帰って制服のまま床屋さんに行きました。残念ながらわたしの通った床屋さんは月曜日は開いてました。火曜日が休みなんです。つい1週間前に切りに行ったばかりだったので、床屋のおばさんが何て言うか、なんて、この際関係ないのかもしれませんが、やはり気になりました。ちなみに床屋のおばさんの得意なカットは男の子のスポーツ刈り…だそうで、わたしが今度どんな頭にされてしまうのか正直不安でした。刈り上げは得意なんでしょうけど。おばさんの切るオカッパは慣れていたので安心だったのですが。お店につくと、やはり「あら、どうしたの?」と言われましたが、「友達がタバコ吸っていたのががばれて…」というだけで事情を理解されてしまいました。恐るべし。先生に渡したプリントをおばさんに渡しました。「これから暑くなるし、刈り上げも夏らしくていいんじゃない?」と平気な様子でした。わたしが「オカッパでさえ我慢してるのに坊ちゃん刈りはいやだー」とごねていると、「ぶつぶつ言わない。悪いことしたんだから大人しく刈り上げ!男の子だったらマルコメくんなんだよ。それよりいいでしょ!」と床屋のおばさんに一喝されました。床屋のおばさんとは仲良くなっていたので、お互い言いたいことを言ってました。

刈布をかけられて髪を濡らしてカット開始です。この前切ったばかりのオカッパがどんどん切られて、耳が全部出て後ろもハサミで切られました。前髪もさらに短く(眉上指二本分)カット(涙)。ここで髪をドライヤーで乾かされました。バリカンで刈るのは髪が乾いているほうがいいんだそうです。わかってはいたのですが、やはり見るとビビりますね。バリカン…。でかくてごつくて…。とても女の子に使われるようなバリカンには見えませんでした。聞けば、男の子の丸坊主に使うバリカンと同じだそうです。罰だから仕方ないですね。床屋のおばさんに、そのバリカンで男の子を坊主刈りにしたのはどれくらい前?と聞いたら、昨日、とのことでした。お母さんに連れられてきた少年野球に入る小学校の男の子の頭をバッサリ刈ったそうです。床屋のおばさんはバリカンでのカットが得意らしいのですが、女の子に使うのはひさしぶりだと言っていました。ウィーンというバリカンの音にドキドキしてしまいました。もちろんバリカンは初体験。「じゃあ、ジャーッと刈り上げちゃうわよ~♪」という妙に嬉しそうなおばさんの声とともにバリカンが入ってきました。おばさんが嬉しそうなのはそのときはちょっとシャクにさわってましたが、今になって考えるとただでさえつらいことだから、笑顔で元気づけようとしてれてたのかもしれません。おばさんの人柄からいうとたぶんそうです。そういうふうに考えられるようになったわたしも大人になりましたね(笑)。後ろのほうからザリザリザリと刈り上げられる感触は意外と気持ちいいんですよ。床屋のおばさんがバリカンを動かしながらふざけて「このまま坊主にしちゃう?」とか言ってきたので、しゃれにならなかったです(汗)。バリカンが終わって、襟足ともみ上げをカミソリで剃られました。髪を洗ってもらって、ドライヤーで乾かしてもらったあと、もういちど、こんどは小さなバリカンで襟足を刈られました。

刈布を外されて、襟足を触ってみたら、信じられない感触でした。男の子の坊主頭を触っているような、自分の髪がこんなになってしまったのが信じられませんでした。床屋のおばさん、いつもの短めのくせが刈り上げにも出てたようです(涙)。鏡に映った自分はどこから見ても男の子。鏡に映る床屋のおばさんのロングヘアがうらやましかったです。そのことを床屋のおばさんに言うと、「子供は短い髪のほうが清潔感があっていいのよ」と言われました。それでわたしが「おばさんも刈り上げになったことあるの?」と聞いたら、「それがないのよ~♪おばさんは刈るほう専門ねぇ♪」という答え。なんか悔しかったです。おばさんは私の短くなったトップの髪をつまみ上げて「サッパリしたわね。でもよく似合っているじゃない。最初から素直になればいいのよ。今度からはルール違反には気をつけることね」と言いました。おばさんは仕事で女の子の責任カットは何回かやったことがあるそうです。バリカンで刈られるって、なんか切ないですね。男の子が初めて丸坊主に刈られるときの気持ちがちょっとわかったような気がしました。

記事作者:加来典誉
公開日:2022年10月21日(金)個別ページ
カテゴリー:小説 

引越し先の中学は

わたしは28になる女です。OLをやってます。ネットをやっていて、断髪フェチというジャンルがあることを知って、同じ感性を持った人がたくさんいることを知り、自分のフェチを表に出すことがすこしずつできるようになりました。わたしは中学生になるまで断髪フェチを意識したことがほとんどありませんでした。きっかけは引越し先の中学の髪型校則でした。そのときの話をしますね。

わたしはもともと福岡の久留米市ということろの中学に通っていました。女優の田中麗奈の出身地です。そして、そこから親の仕事の関係で中学1年の途中に八女市というお茶が有名な場所に引っ越したんです。久留米の学校では、男子は全員丸刈りでしたが、女子は長い髪でも結べばOKでした。わたしは小さいころからロング派で、肩より短くしたことが一度もなかったんです。自分で言うのもなんだけれど、髪がきれいなストレートで、背中の真ん中までの自慢のロングヘアだったんです。お姉ちゃんも久留米の学校に行っていて、中学3年間ずっとロングだったので、わたしもずっとロングを続けると思ってました。だから小学校の間でも髪型校則とかはまったく意識してませんでした。強いて意識したとすれば男子の丸刈り校則くらいでした。今考えると、男子には悪かったなと思いますが、ひとごとなので、小学校を卒業する前に続々と男子が丸刈り頭になっていく中で、まだ丸刈りにしていない男子がいると、「あらっ、きみもそろそろバリカンじゃない?」とか言ってからかってました。中学校に入ってからも散髪したての丸刈りの男子たちの頭を触りまくって喜んでました。

八女に引っ越して、最初の登校日は、いつも通り長い髪をひとつ結びにして、何も知らないで学校に行ったんです。学校に行ってみると、男子は全員丸刈り、これは驚かなかったのですが、女子も肩より長い髪の子がひとりもいないのに気づきました。さすがに不安になりましたね。クラスのみんなの前で、あいさつするじゃないですか、わたしだけロングで、見ている女子はみんなちょっとださめのオカッパとかショートなんですよ。微妙な気持ちでした。なんかクラスの人から冷たい目で見られているみたいで、特に女子から。昼休みに急いでトイレに入って受け取った生徒手帳を見ると、女子の髪型はオカッパかショートカット、制服の襟よりも長い髪は認めないとはっきり書いてありました。覚悟はしていたものの実際に見るとさすがにショックでした。放課後にお母さんが迎えに来て、一緒に担任の女の先生の待つ応接室に行きました。手続きの書類とか、学校生活の注意とか、普通に話は進んで、最後に髪の話になりました。女子の髪型はオカッパかショートカットということを改めて聞かされました。ロング好きのわたしを知っているお母さんなら何か言ってくれるかと思ったら、いつもと同じような表情で普通にうなずいていました。しかも、学校指定の床屋さんがあるということを聞かされ、髪形の規則に間違いがないように最初は必ずそこの床屋さんに行くように言われました。中学の名前を言えば規則に合った髪型にしてもらえるということでした。渡されたプリントには校区内にある5個くらいの床屋さんの名前が書いてありました。お店に髪を切りにいくの自体が7年ぶりで、しかもわたしは床屋さんに行ったことがなかったので不安でしょうがなかったです。担任の先生もわたしの不安そうな様子を察したのか、「前の学校はロングでも良かったんですね。ロングの時と違って、首筋がスッキリ出るから、風が涼しいし、同じように首を出したポニーテールの時と違って、髪の毛の量もグッと減っているから、頭が軽くてラクチンですよ」とニコニコ顔で言われました。担任の女の先生は40くらいで、わたしと同じくらいのロングヘアの先生でした。わたしがなんとなく悔しくなって、「先生は、髪が一番短い時はどれくらいでした?」と聞くと、「そうですね、わたしのときは、髪型の校則がなかったので、肩につくか、それより長い髪しか、経験がないです。がっかりさせてごめんなさいネ。先生はオバさんになってしまって、もう短いのは似合いませんから。今の学生さんは、若い時にこういう機会があるので、思い切って、オカッパやショートカットとか、短い髪型にチャンレンジできて、かえってうらましいわ。夏の大会前になると部活動で刈り上げのショートカットにする女子生徒もいますよ。聞けば、床屋さんの電気バリカンで刈り上げてるっていう子もいて、気合が入っていて、よいなっと思います。刈り上げなら汗っかきでも安心ですね。女の床屋さんにヘアカットしてもらってるようですよ。電気バリカンで刈ると、青々した刈り上げに仕上がっていて、思わず見とれてしまいます。オバさんのわたしにはとても真似できませんから」わたしが反抗的になって「なんで髪を短く切らないといけないんですか?」と聞くと、「まずは長い髪にこだわっている心を変えましょう。それは甘えです。大人になる準備段階だから、少しずつ、我慢を覚えないといけません。決められたことをきちんと守ることから何事も始まります。髪は女の命と言うけれど、オカッパになった時、何かが見えると思いますよ。男の子にも言うんですけれどね、電気バリカンがバリバリ頭に入っていくことで何かが見えてくるって。大事にしているものとの別れが人を大きくすることもありますよ」と先生は右手でチョキマークを作って、わたしの前でチョキチョキ動かしました。お母さんはクスクス笑っていました。わたしは呆然としてしまい、これからどうしようかと思いました。

家に帰る途中、お母さんに髪を切りたくないと言いましたが、お母さんは「あら、お母さんは楽しみね。短くなるとどうなるかって。いい経験だって担任の先生も言ってたじゃない。本当はお母さんが散髪してあげたかったけど、最初は床屋さんなのね。男の子もなのかしら。長い髪ともしばらくはサヨナラね。なんかサクラサクって感じでいいな」と言いました。わたしは唖然としてました。家に帰っても切りたくないと言ってだだをこねると、「オカッパかショートカットなのよね、どのくらい切らないといけないのかしらね、生徒手帳に書いてあった?」と言われたので、だまってお母さんに生徒手帳を渡しました。生徒手帳のオカッパの所には「前髪は眉より指一本ぶんよりも上で、横一直線に切り揃える。横の髪は、あごのラインで、一直線に切り揃える。後髪は、横の髪と同じ長さで、一直線に切り揃える。」というようなことが書いてありました。お母さんは鏡の前でわたしと一緒になり、手で長さを確かめました。「思い切ってショートカットにしたら?」とお母さん、わたしは絶対にいやだと反対しました。「明日かあさってには切りに行かなきゃね。電気バリカンで散髪してもらってる女の子もいるみたいじゃない、さっぱり短く散髪してもらってきなさい」とさらっと言われました。あんまりあっけなかったのでわたしもすぐに言い返せませんでした。その日は金曜日だったのですが、土曜日には未練があってどうしても行けず、結局、日曜日の夕方に行くことになりました。プリントにあった床屋さんには住所と店長さんの名前が書いてあったのですが、知らないおじさんに切られるのは嫌だったので、ひとつだけあった女の人が店長さんの床屋さんに行くことにしました。お母さんは「ひとりで大丈夫?」と言ってくれましたが、ついてきてもらうのは恥ずかしかったので、受け取った3千円を財布に入れて、家を出ました。その床屋さんは市役所の近くということだったので、すぐに見つかりました。赤と青のサインポールが回っていて、わりとこぎれいなお店でしたが、お店に入る前に、まわりをうろうろしてしまって、すぐには入れませんでした。

勇気を出してお店のドアを開けて中に入りました。出迎えたのは40くらいの女の理容師さんでした。あごのところに南野陽子みたいなほくろがあったのを覚えています。お客さんはわたし一人でした。年齢的には当時のお母さんと同じぐらいでしたね。優しそうな人だったのでちょっと安心しましたが、「カット?」と聞かれると、緊張で思わず足がすくんでしまいました。わたしがだまってうなずくと、散髪椅子に案内されました。ピンクの刈布をかけられ、「中学生のお客さん?今日はどうしますか?短くするの?」と聞かれました。わたしは言いたくなかったけれど、事情を説明し、通うことになる中学校の名前を言いました。理容師さんは「やっぱり、そうですか。せっかく長い髪でもったいないけどしょうがないわね。今日、お店の棚を整理していたら、このピンクの刈布が出てきたのよ。こういう時って結構、女の子の決意の断髪式があるものなのよね。大事に伸ばしたロングヘアだろうけど、心を鬼にして短くカットさせてもらうわね」と言いました。「ご希望は、オカッパさん?ショートカットさん?」と聞かれたので、オカッパならぎりぎり結んだりもできるかなと思い、「オカッパで」と答えました。「オカッパさんね、わかりました」理容師さんが、なぜか「オカッパ」と「ショートカット」に「さん」づけをしていたのを覚えています。理容師さんは「オカッパさんもきっと似合うと思いますよ。スッキリと短くなった髪も、女の命って言えるように可愛くカットしてあげるわね」と言いました。理容師さんは背中の真ん中まであるわたしの髪をすごく丁寧にブラシとクシで梳かしました。数分後にはゴミになってしまうのに、なんでこんなに念入りにされるのかって思いました。その後、髪を霧吹きでまんべんなく湿らせました。

「それじゃあ、サッパリ短くしちゃいましょうね。がんばってくださいね」と、ハサミを手に持った理容師さんが笑顔で聞いてきました。わたしにはその笑顔がかえってつらかったけど、うなずくしかありませんでした。理容師さんは、まず、あらくわたしの髪をザクザク切っていきました。背中の真ん中まであった髪が、あっという間に肩につかない長さになりました。大事に伸ばしてきた髪だったので、正直、こんなに簡単に短くカットしてしまう理容師さんが少し憎かったです。でも今考えるとあんなふうに一気に切ってくれたほうが、ゆっくりじっくり切られるより、たしかに気が楽だったと思います。理容師さんもわたしと同じようなロングヘアの小中学生の女の子のお客さんを何人も短くカットしてきたからわかってたんでしょうね。それから、前髪です。目を閉じていましたが、オデコのところでジョキジョキと前髪が一直線に切られていくのが伝わってきました。ハサミの音が止まったので、目を開けると、前髪が半分だけ眉の上できっちり切り揃えられていました。理容師さんは、残った前髪はそのままににして、横の髪を切り始めました。そしたらビックリしました。切った毛先がほっぺの真ん中あたりに当たるんです。なんでこんな短くされちゃったんだろうってパニック状態でした。たぶん顔も引きつっていたんじゃないかな?そしたら理容師さんが「大丈夫?中学生の最初のお客さんはちょっと伸びても風紀検査にひっかからないようにいつも生徒手帳より少しだけ短めに切らないといけないの。ごめんね」と言いました。わたしは大きなお世話と言いたくなりましたが、かわりに「大丈夫です」と言っていました。それからどんどん切られていって、前髪も全部、眉の上になり、反対の横の髪も短くなり、最後に後ろの髪を切って、オカッパの出来上がりです。もう終わりかと思ったら、後ろのほうでジョリジョリ音がするんです。うなじをカミソリで剃られてたみたいです。とにかく信じられないって感じでした。

カットが終わり、ドライヤーで短くなった髪を乾かされてブラシを入れられてから、改めて鏡を見ると、ロングヘアだった自分の代わりに、ひとりの田舎の女子中学生がいました。この前、八女の学校のクラスで見た女子たちと今は自分も同じです。そしたら理容師さんが、「ロングヘアからのドラマチックな断髪式だったけど、意外とケロッとしてるわね。安心しました。心を鬼にして短く散髪するって言ってたのもウソみたい。もう髪の毛は結べなくなっちゃったけど、素敵に短くなったオカッパ頭で学生生活をエンジョイしてください。頭も軽やかに、心も軽やかに、新生活、がんばってくださいね」とニコニコして言いました。わたしは素直にはそう思うことができませんでした。「切った毛、断髪式の記念に持って帰る?」と聞かれたんですけど、なんか切った髪の毛持って帰るのって結構つらいじゃないですか。だから断りました。「夏場はショートカットも涼しげでおすすめですよ。短い髪型を怖がらないでね」と理容師さんが笑顔で送ってくれました。

理容師さんにお金を払って放心状態で家に帰りました。家に帰ってしばらくは恐くて頭を触わる事も鏡を見る事も出来ませんでした。しばらくして勇気を出して鏡見た時はやっぱりショックだったですね。首くっきり見えるし、耳たぶもちょっと出てるし・・・。それにうなじ剃られてるし。正直いって信じられなかったです。でも、現実でした。それから髪の毛をさわってみて改めて夢じゃなかったんだって思いました。理容師さんの言っていた通り、とても結べるような状況じゃなかったです。お母さんは「あらっ、かわいくなったわね」と言っていましたが、無責任に聞こえてしょうがなかったです。そのうちお姉ちゃんが帰ってきてわたしの頭を見てクスクス笑って、「別れが人を大きくするのよ。髪の毛ひとつとってもドラマがあるわね。お姉ちゃんだけロングヘアでごめんね」と言っていました。お父さんも私の頭を見て笑ってるし。翌日、中学校に行くと、わたしのダサいオカッパ頭を見たクラスの女子たちの勝ち誇ったような視線がつらかったです。1、2ヶ月してクラスにもだいぶ慣れて、友達もできました。それから一度だけ、髪のお洒落をしたくて久留米の美容室に行ったりもしたのですが、女子の先輩に生意気だと言われ、結局、八女に来て最初に行った南野陽子似の女性理容師さんの床屋にずっと通いました。理容師さんのおばさんとも仲良くなりました。部活で刈り上げにする女の子はこの理容師さんに散髪してもらっているそうでした。電気バリカンで刈った青い刈り上げには理容師のおばさんも思わずウットリくるそうでした。わたしは、それから、ずっとオカッパでしたが、一度だけショートカットにしたことがあります。そのときの話はまた別の機会にしますね。

記事作者:加来典誉
公開日:2022年10月21日(金)個別ページ
カテゴリー:小説