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思索とアートとヘアカット
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責任カット

以前、引越し先の中学の校則で背中までのロングヘアーからオカッパになった話をした続きです。中学時代、ずっとオカッパでしたが、中3の夏休み前に一度だけ耳だしのショートカットにしたことがあります。しかも、刈り上げ…。わたしの通った八女の中学には男子の五厘坊主(通称:マルコメ)だけでなく女子にも悪さをしたときには責任カット(通称:坊ちゃん刈り)というのがあって、まさかわたしがそうなるとは思いませんでしたが、なってしまったんです…。坊ちゃん刈り…。一緒にいた友達がタバコを吸っていたのがばれて連帯責任で女友達全員がダサダサの刈り上げショートカットに。ある意味すごいことですね。あと半年で卒業ということで自由な気分になってたのがうかつでした。高校になったら伸ばせるかもしれないと思うとこの時点での責任カットはやりきれなかったです。タバコを吸っている現場が見つかって、その場でお説教でしたが、月曜日の朝にもう一度職員室に呼ばれました。そこで反省の意味をこめて担任の先生(女性)に責任カットにするように言われました。ショックで言葉が出ませんでした。先生は引き出しからプリントを取り出してわたしたちに配りました。「責任カットのお願い」とあって、内容は「私は中学校で規則違反、また周囲の人たちに迷惑をかけたため、反省のために髪を短く切ることになりました。次のような髪型に散髪してください。1.前髪は眉毛より指二本分上で真っ直ぐに切り揃えてください。2.横の髪は、耳が全部出るように短く切ってください。3.後頭部は襟足を1ミリ程度にしてバリカンでなめらかに刈り上げてください」というようなことが書いてありました。髪を切るのはどこでもいいけれど、髪を切ってくれる人に、必ずこのプリントを渡すように言われました。先輩とか同級生で責任カットになったのを見たことがあったので、どういう髪型になるかはわかっていましたが、こんなふうにプリントを渡されるのは知りませんでした。女の子なのに「バリカンでなめらかに刈り上げてください」とかひどくないですか?悪さをしたら恥ずかしい刈り上げショート、年頃の乙女の…。反省のためだから仕方ないのかもしれませんが。さすがに男子みたいにみんなの前でバリカンで刈られたりとかはないわけですが、それでもこのプリントを渡すのは相当恥ずかしかったです。まあ男子はなにもしなくても校則でバリカンちゃんだから、それを考えたらいいのかもしれませんね。坊ちゃん刈り決定の女友達同士で相談したのですが、髪を切りに一緒に行ったりは恥ずかしいので、別々に行こうということになりました。切ってもらったのは行きつけの床屋さん。初めてオカッパにしてもらったところと同じ南野陽子似の理容師さんのところでした。

髪を切る期限はあさってまで、ということだったので、学校から帰って制服のまま床屋さんに行きました。残念ながらわたしの通った床屋さんは月曜日は開いてました。火曜日が休みなんです。つい1週間前に切りに行ったばかりだったので、床屋のおばさんが何て言うか、なんて、この際関係ないのかもしれませんが、やはり気になりました。ちなみに床屋のおばさんの得意なカットは男の子のスポーツ刈り…だそうで、わたしが今度どんな頭にされてしまうのか正直不安でした。刈り上げは得意なんでしょうけど。おばさんの切るオカッパは慣れていたので安心だったのですが。お店につくと、やはり「あら、どうしたの?」と言われましたが、「友達がタバコ吸っていたのががばれて…」というだけで事情を理解されてしまいました。恐るべし。先生に渡したプリントをおばさんに渡しました。「これから暑くなるし、刈り上げも夏らしくていいんじゃない?」と平気な様子でした。わたしが「オカッパでさえ我慢してるのに坊ちゃん刈りはいやだー」とごねていると、「ぶつぶつ言わない。悪いことしたんだから大人しく刈り上げ!男の子だったらマルコメくんなんだよ。それよりいいでしょ!」と床屋のおばさんに一喝されました。床屋のおばさんとは仲良くなっていたので、お互い言いたいことを言ってました。

刈布をかけられて髪を濡らしてカット開始です。この前切ったばかりのオカッパがどんどん切られて、耳が全部出て後ろもハサミで切られました。前髪もさらに短く(眉上指二本分)カット(涙)。ここで髪をドライヤーで乾かされました。バリカンで刈るのは髪が乾いているほうがいいんだそうです。わかってはいたのですが、やはり見るとビビりますね。バリカン…。でかくてごつくて…。とても女の子に使われるようなバリカンには見えませんでした。聞けば、男の子の丸坊主に使うバリカンと同じだそうです。罰だから仕方ないですね。床屋のおばさんに、そのバリカンで男の子を坊主刈りにしたのはどれくらい前?と聞いたら、昨日、とのことでした。お母さんに連れられてきた少年野球に入る小学校の男の子の頭をバッサリ刈ったそうです。床屋のおばさんはバリカンでのカットが得意らしいのですが、女の子に使うのはひさしぶりだと言っていました。ウィーンというバリカンの音にドキドキしてしまいました。もちろんバリカンは初体験。「じゃあ、ジャーッと刈り上げちゃうわよ~♪」という妙に嬉しそうなおばさんの声とともにバリカンが入ってきました。おばさんが嬉しそうなのはそのときはちょっとシャクにさわってましたが、今になって考えるとただでさえつらいことだから、笑顔で元気づけようとしてれてたのかもしれません。おばさんの人柄からいうとたぶんそうです。そういうふうに考えられるようになったわたしも大人になりましたね(笑)。後ろのほうからザリザリザリと刈り上げられる感触は意外と気持ちいいんですよ。床屋のおばさんがバリカンを動かしながらふざけて「このまま坊主にしちゃう?」とか言ってきたので、しゃれにならなかったです(汗)。バリカンが終わって、襟足ともみ上げをカミソリで剃られました。髪を洗ってもらって、ドライヤーで乾かしてもらったあと、もういちど、こんどは小さなバリカンで襟足を刈られました。

刈布を外されて、襟足を触ってみたら、信じられない感触でした。男の子の坊主頭を触っているような、自分の髪がこんなになってしまったのが信じられませんでした。床屋のおばさん、いつもの短めのくせが刈り上げにも出てたようです(涙)。鏡に映った自分はどこから見ても男の子。鏡に映る床屋のおばさんのロングヘアーがうらやましかったです。そのことを床屋のおばさんに言うと、「子供は短い髪のほうが清潔感があっていいのよ」と言われました。それでわたしが「おばさんも刈り上げになったことあるの?」と聞いたら、「それがないのよ~♪おばさんは刈るほう専門ねぇ♪」という答え。なんか悔しかったです。おばさんは私の短くなったトップの髪をつまみ上げて「サッパリしたわね。でもよく似合っているじゃない。最初から素直になればいいのよ。今度からはルール違反には気をつけることね」と言いました。おばさんは仕事で女の子の責任カットは何回かやったことがあるそうです。バリカンで刈られるって、なんか切ないですね。男の子が初めて丸坊主に刈られるときの気持ちがちょっとわかったような気がしました。

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