ブレインストーミングはとてもポピュラーなグループで行うクリエイティブなエクササイズです。それは手早く簡単に役に立ちます。しかし、たくさんの組織がブレインストーミングによって失敗し、ブレインストーミングを使わなくなっています。彼らはブレインストーミングは時代遅れでもはや役には立たないと言います。しかし、失敗の本当の理由はブレインストーミングが正しく活用されなかったことにあるのです。上手に運用されたブレインストーミングは面白くて強力です。そういうブレインストーミングは、大量の良質のアイデアを生み出します。しかし、貧弱なブレインストーミングは欲求不満を生み出し、モチベーションを下げます。あなたの次回の会議をだめにするかもしれない単純な方法をこれから見ていきましょう。
漠然とした不明確な目的しかないブレインストーミングは戸惑い行き場を失う原因となります。ですから明確な目標を立てましょう。ブレインストーミングの目的は明確なゴールのための答えを得るためのクリエイティブなアイデアをたくさん生み出すことにあるのです。ぼんやりした目的は役に立ちません。「どうやったらもっとうまくできるだろうか」というのはよくありません。「次の12ヶ月で売り上げを2倍にするにはどうすればいいだろうか」といったものがいいのです。しかし、質問の要素は詳細になりすぎないようにしなければなりません。さもないと横道にそれたようなアイデアが出る可能性を閉め出してしまいます。「既存顧客と現状の製品で売り上げを2倍にするにはどうすればいか」というのはおそらく自然ではありません。いったんブレインストーミングの目標を指し示すその質問が同意を得たら、誰もが見えるように書き出されねばなりません。
出されるべきアイデアの数とそのために要する時間を決めておくことは役に立ちます。「20分間で60個のアイデアを生み出そう。そしてそれを4、5個の良いアイデアに絞り込もう」といったように。
みなが同じ部署の人間であるならば、クリエイティビティは妨げられ、「集団的なものの考え方」をする可能性があります。参加する集団を注意深く選びましょう。およそ6人から12人くらいがちょうどよい参加者の人数です。参加者が少なすぎては多様性のある十分なアイデアが集まりません。逆に参加者が多すぎては管理が難しくなり、みなの合意を保つことができなくなります。他の分野から、さらには他の企業組織から外部の人間(異なった視点や馬鹿げたアイデアを持ち込みうる人たち)を交えたグループにしましょう。様々な年代、男性と女性、経験を積んだ人と新人といったように、種類が混ざったグループがベストです。
チームを率いる専制的なボス(そのチームの最高責任者)に注意しましょう。彼らは議論を妨げたり型にはめたりする可能性があります。ボスが出席する場合は、独立した立場の適切な司会者(意見を出しやすくし、誰か一人が支配的な立場にならないようにできる人)を設定することをおすすめします。最悪のブレインストーミングは、その部署の最高責任者が会議を主導し、意見に対する書記と審判を同時に兼ねるというものです。
ブレインストーミングの最も重要なルールは判断を先送りするということです。馬鹿げたアイデアの持つ豊かさを引き立たせるために、誰も出されたアイデアに対して批判的になったり否定的になったり審判を下したりするようなことがないというのが必須の条件なのです。発言されたアイデアは、どんなに馬鹿げていても、書き記さねばなりません。アイデアを生み出す段階では判断を先送りにするというルールは厳格に強制する価値のある重要なことなのです。
一握りだけのアイデアを集めてから分析を開始するのはやめましょう。アイデアは多ければ多いほどいいのです。ブレインストーミングは、量が質を改善するということを実証する生活の中で数少ない活動なのです。ダーウィンの進化論を考えてみてください。ばらばらのアイデアがより多く生み出されれば生み出されるほど、そのうちのいくつかが生き延びるように適応するチャンスは大きくなるのです。エネルギーをためておいて、大量の馬鹿げたアイデアに遭遇するようにする必要があるのです。全く役に立たないと思われるような気違いじみた考えが、新しい偉大なソリューションへと適応していく他のアイデアへの飛び込み台となることはしばしばあるのです。ですから、気違いじみたアイデアが出続けるようにしなければなりません。1人の王子を見つけるためにはたくさんのカエルにキスしなければならないのです。
大量のアイデアと追求すべき漠然とした展望を生み出しただけで会議を終了してはいけません。現実の結果が見えなければ、人というのは欲求不満を感じ、確信を失います。会議の場で素早くアイデアを分析すべきです。最良の方法一つとして挙げられるのは、提案されたものを、見込みあり、面白い、拒否の3つのカテゴリーに分類することです。すぐに実行されるべきであると思われる考える必要のないくらい見込みのあるアイデアがあるならば、ただちに誰かにそれを実行する権限を与えるべきです。
アイデアをカテゴリ分けして蓄積すべきです。見込みあり、面白い、と分類された全てのアイデアのうちマーケティングに関するものを、分かれているフリップチャートの一方に書き記し、セールスに関するものを、フリップチャートのもう一方に書き記すといったことを行います。アイデアを再構成するこの処理によって、新しい組み合わせと可能性が見えてきます。このステージにおいて、簡単にアイデアを移動できるように付せん(ポストイット)を使う人もいます。
もし時間がないのであれば、参加者全員に5ポイントずつ与えるという、最良のアイデアを集めるための別の方法があります。参加者は好きなようにポイントを自分が気に入ったアイデアに振り分けます。5つの別々のアイデアにそれぞれ1ポイントずつ振り分けてもいいし、5ポイント全てを1つのアイデアに当ててもいいのです。あとはポイントを集計して実行すべき最良のアイデアを集めることができるのです。
意見を出してくれたことに対して参加者全員に感謝をして会議を終わります。最良のアイデアのうちの2つについてそれぞれもう一度、言及します。仮にそれが小さなことであっても、どちらのアイデアが条件を満たしているかを見ます。
人は行動へと導いてくれる短時間のエネルギーに満ちたブレインストーミングを楽しむものです。これらの会議は人のモチベーションを上げ、効果的に改善が行われ、革新を促します。
以上は、
原文:「Six Great Ways to Ruin a Brainstorm」Paul Sloane
からの翻訳です。