Web2.0という言葉がたくさんの人に使われ、バズワードとして世に広まりました。Web2.0は日本では「もうかる」「ビジネス」という視点からさかんに注目を浴びましたが、僕なりの結論はWeb2.0は「もうからない」ということにつきます。Web2.0の代表的な会社としてAmazon、Google、Appleが挙げられます。Amazonは黒字に転換するまでかなりの資金投下を続けてようやくまともな利益が上がるようになりました。Googleは初期のまったく収益モデルのない状態から一転して広告ビジネスを軸にして今では巨万の富を得ています。Appleは、Windowsに押されて、過去の会社になろうとしていたところを、iPod、iTunesの成功で経営を良好にしました。Web2.0を実践するにはかなりの資金・体力・技術が必要です。中小企業がWeb2.0的なサービスを展開するのは至難の技です。
僕の考えるWeb2.0とは次のようなものです。
(技術的側面)
- 機械(プログラム)にできることは全部機械(プログラム)にやらせて、本当に人間が関わらなければならないことだけ人間が作業をする
- 増え続ける膨大なデータベース(ページ運営者とページ閲覧者・プログラムの三者がデータベースのデータを増やしていく)
- 人間(サイト運営者とユーザー)がほしい情報をデータベースから整理された形でアウトプットする(検索・リコメンド・SNS・ショッピング・アクセス解析・API)
(ユーザー的(サイト閲覧者的)側面)
- いつでもほしい情報(商品・仲間)がそのサイトにある
- そのサイトを使えば使うほど便利になる
- そのサイトに愛着を持つようになる
(ビジネス的(サイト運営者的)側面)
- 誰が何を欲してサイトに訪れているのかが自動的に記録されていく(データベースが企業資産となる)
- 知らせたい情報をいつでもユーザーに知らせることができる
- ユーザーと直接コミュニケーション(情報交換・売買)できる
Web2.0という言葉の定義の際によくいわれることですが、以上のことはインターネットが始まったころに、「ネットの特性を考えれば、こういうものが理想的」と言われてきたことです。Amazon、Google、Appleはかなりのエネルギーを使ってWeb2.0的なビジネスを成功させました。そして、それほどエネルギーのない中小企業は、この3つのIT大手からおこぼれ(API・サービス)を利用することで細々と利益を得てきました。
それほどエネルギーのない中小企業や個人ががわずかにWeb2.0的なサービスを展開するとすれば「ブログ」しかありませんでした。しかし、ヒントはこの「ブログ」にあると思います。Web2.0的なことを中小企業が行うためには、独自のシステムを独自の資金投下で実現するのではなく、すでにあるオープンソースのウェブアプリケーションまたは格安のウェブサービスを利用する必要があります。いわば「使いまわしされるウェブアプリケーション」が重要なキーになるのです。