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高度な創造的作業を高速化する方法

小論を書く、インターフェースのデザインをする、ソフトウェアの問題の洗練された解決法を思いつく、といったことは簡単なことではありません。高度な創造的(クリエイティブな)作業は、ひらめきの電灯がピカッと光るまでに、時には何日も考え込まなければならないことがあります。しかし、そのひらめきに至るまでに、ぐずぐずしたり、他のことに気をとられたり、コンピュータの画面を何時間も眺め続けるといったことになりがちです。

最近になってわたし自身も、高度な創造的作業をどのように扱ったらいいのかという問題を解決しなければなりませんでした。わたしはこのブログの記事を書くのが大好きではありますが、すでに600ほど記事を書いている以上、オリジナルでなおかつ面白いというアイデアを思いつくのは困難なのです。

記事を書くのは簡単なパートです。しかしアイデアを思いつくのは全く行きあたりばったりです。アイデアにすぐに思い当たったりすることもあれば、何を書くのか決めるまでに20分は考え込まなければならないこともあります。やたらと効率が悪いことがわかったので、わたしはこの創造的活動における障害物を回避すべく、ものを書くやりかたを変えることに努力を注いでみました。

創造と破壊の衝突

創造性における2フロー理論においては、すべての創造的な行為は2つの方向性の努力が必要とされます。アイデアの創造や生成には、アイデアの破棄や仕上げとは全く異なった精神的状況が必要です。結果的に見て、大半の創造的行為における障害物は、この2つの両方をいっぺんにやろうとして、2つのフローが相殺してしまった結果として生じるのです。

小論を書く必要があるとしたら、いい主題を思いつこうとして、何時間もスクリーンを眺めっぱなしになってしまうということになりがちです。この精神的な障害物によって、時間の無駄遣いだけでなく、苦しみ悩まなければならないことになってしまいます。アイデアを引っ張り出すのは、まるでストローでコンクリートを吸いだそうとすることのようです。

解決法は、創造的な行為に含まれる2つのフローを分離し、それぞれに分けて焦点を合わせることです。フローを分離することで、時間の節約ができます。さらに重要なのは、全く何も出てこないという欲求不満を起こさずにすむということです。

2つのフローを特定する

創造的活動における障害が発生した場合、2つの活動を分離しようとしてみてください。わたし自身のものを書く作業に関していえば、記事の見出しを考え出すのは創造的な活動です。アイデアの仕上げをしたり、細かい部分を解決したり、形式を整えたり、焦点を合わせたりすることは、破壊的な活動です。これら2つをいっぺんにやろうとすることが創造的活動における障害物なのです。

デザインを思いつかなければならないとしたら、創造的な活動に当たるのは、形や型をスケッチすることです。破壊的な作業に当たるのは、これらの形を洗練された効果的な意味で組織立てることです。プログラミングにおける問題を解決することにおいては、無数の不完全で非効率的な解決方法を思いつくことと(創造的)、それらのアイデアの断片を全体として統合するように組織立てること(破壊的)が必要とされます。

障害物を克服する最初のステップは、自分の行っている活動のどの部分が互いに打ち消しあっているのかを正確に認識することです。

2つのフローに分離する

次のステップは、その2つの活動のうちの1つを停止させることです。通常、創造的な活動における障害物は、十分な選択対象となりうるアイデアを生み出す前に、アイデアの仕上げすることに焦点を合わせることによって生じます。しかし、たくさんのアイデアを持っていて、それらを実行可能なものに組織立てることができないのであれば、破壊的な方向に切り替えるべきです。

わたしの場合、記事を書くことの分割は、アイデアの生成と、アイデアの洗練化のフェーズに分けることでした。毎週、わたしは1時間から2時間、潜在的なアイデアの長いリストを作りました。これらのアイデアのいずれに対しても何らかの行動をするというプレッシャーがなかったので、わたしは比較的早くリストを作り上げることができました。

その後、わたしはその週の記事を実際に書く必要があり、さきほどのリストにだけ基づいて記事を書くことを自らに課しました。このように課すことで、わたしはアイデアを生成する段階を続けるのではなく自分自身の考えを組織立てることに力を入れることができました。

わたしは定期的に記事を書くので、週のまったく違う日に分けて2つの活動を行うことで恩恵を受けています。あなたの創造的な作業の場合にはこれほどの柔軟性は持たせることができないかもしれません。この2つの段階に時間差を設けることができないにしても、なおあなたは2つの段階に分離することはできるのです。次にその方法を挙げます。

  1. サイズを固定したブレーンストーミングのリストを準備します。リストアップした基本となるアイデアに番号を当てます。ブレーンストーミングでわたしは通常10~30のアイデアをリストアップしますが、多くても100を超えないようにしましょう。このリストを仕上げるまでは、いかなるアイデアに対しても洗練化もしくは何らかの行為をしないようにします。これを行うことによってアイデアの仕上げをすることなくアイデアを生成することに集中するように仕向けることができるのです。
  2. 少なくとも1つのアイデアを追求するようにします。多すぎるほどのリストを生み出したら、今度はこれらのアイデアのうちの少なくとも1つに取り掛かりましょう。そのアイデアが適切なものでなかったとしても、このステップのおかげで、現在あるアイデアを組織立てるように仕向けることができます。ひとつのアイデアを追求するのに最小限の時間しかかけないようにしましょう。
  3. アイデアがうまくいかない場合はそのアイデアをバックアップしてリスタート(一連の過程を最初から始める)します。しかしこういうことは比較的まれだということがわたしにはわかりました。多くの選択対象となりうるアイデアを含むリストを生成し、1つのアイデアを十分な時間を掛けて追求していれば、一連の過程をリスタートするのは通常、不必要なことです。しかし、どうしてもリスタートする必要があったとしても、創造的な活動を分割しておくほうが、同時にその作業を行うよりもずっと早く結果を出すことができるのです。

あなたが定期的にやらなければならない創造的な作業は何でしょう?時間を節約するために作業のフローを分割する方法が何かありますか?

以上は、
原文:「How to Speed Up Highly Creative Tasks」Scott Young
からの翻訳です。

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