わたしは大変まじめに娯楽と向き合っています。再放送することのできない人生は短すぎます。娯楽の時間を最大限に生かすことは一見、誰にでもできそうなことです。楽しいことをやるのが大変だなんてことはありえませんよね?
不幸なことに、レジャーに使う時間は無駄に過ごしてしまうことが一般的だという事例があります。ミハイ・チクセントミハイ(心理学者)は、彼の著書、『フロー理論』の中で、被験者にその日の合間合間に感じた幸福感を記録してもらっています。驚くべきことに、彼らが最悪の時間だと感じていたのはオフの時間でした。人は思っているほど楽しんでいるようで楽しんでいないのです。
たいていの人は娯楽に対して無意識的な姿勢で向き合っています。娯楽は世の中で生じる問題や挑戦から離れた休憩だと思われています。娯楽についてもっと考えてみる必要はないでしょうか?
自由な時間を退屈な時間にしてしまっているのが実はこういった娯楽に対する態度によるものなのです。娯楽を最大限に生かすことに対してもっと意識的なアプローチを取ってはどうでしょうか。問題をもっと注意深く眺め、自分が自由時間をどのように過ごしているのかを分析することで、より少ない時間でもっと楽しいことができるはずです。
一年間、ありとあらゆる娯楽を断(た)ってみましょう。できると思いますか?おそらくできないでしょうね。娯楽やレジャーに使う時間は、単なる時間の浪費ではないのです。しかし、娯楽があなたの人生の中でどういう役割を果たしているのかを知らないでいる限り、おそらく娯楽は空しく退屈なものとなってしまうのです。
わたしが短時間のブレーンストーミングで得た楽しみの働きについていくつか挙げてみましょう。
あなたにとっての娯楽の必要性もおそらく以上にリストアップしたものの中に含まれているでしょう。娯楽を最大限に生かすためには、これらそれぞれの観点からオフの時間を見つめ直す必要があります。この見方に立って楽しみを眺めてみると、どんなタイプの遊びが一日に価値あるものにしたり、あるいは反対に単なる悪い習慣なのかを、簡単に理解することができます。
「タイムログ」をつけましょう。タイムログとは簡単に言えば、あなたが始めそして終わったありとあらゆる活動の記録した詳細な日誌です。少なくとも一週間は、あなたが行った仕事、日常の決まりきったこと、遊びの大半をタイムログに取り込んでください。(タイムログについてもっと知りたい方はこちら(英語)をお読みください)
タイムログをつけ終わったら、レジャーに使った時間をカテゴリー分けしてください。こんなリストができるでしょう。
わたしはかつてこれと似たようなタイムログをいくつかつけたことがあり、結果はしばしば驚くべきものでした。通常、ひとつのことにどれだけの時間をかけたかということの頭の中の意識と、実際に費やした時間は、ぜんぜん違うのです。一生懸命に頑張ったと信じていても、タイムログは異なった事実を示してくれます。あなたはもっとも楽しいことを娯楽として行っていることを信じているにちがいありません。テレビ番組の再放送を見ていたことがリストの最上位に占めているのを自分の目で見るまでは…。
娯楽に対してスノッブな態度を取るのはやめましょう。娯楽におけるスノビズム(俗物根性)によれば、「Simpsons」を見るような娯楽のあり方よりもオペラを見に行くような娯楽のあり方のほうが優れていると信じることになります。娯楽のスノビズムに頼っていては、自分の頭でどうやったら楽しい時間を過ごせるかということを考えなくなってしまいます。レジャーに使う時間をどうやったら一番良く使えるかを自分自身で考えましょう。
娯楽で何が重要なのかを判断する基準の上位3番目までピックアップしてみましょう。わたしのはこうです。学習(目新しいものに触れる)、社交、リラクゼーション。あなたのリストアップしたものはこれとは異なるでしょうが、とりあえずこれらのものがわたしが楽しいと感じる3つの主要な理由なのです。
3つの基準を確認したら、先ほどリストアップした娯楽のカテゴリーをあなたの主観的な判断でランキングしてみてください。テレビは学習や社交という意味ではあまり意味をなしてはいないでしょうが、テニスをするよりもずっとリラックスした時間を過ごすことができているのです。それぞれの娯楽をランキングすることで、自分が何を本当にもっとも楽しいと思っているのかを見つけ出すことができるのです。
これらのプロセスを踏んだら、どれだけの時間があなたにとって楽しくないと思っているもののために使われているのかということを知って驚くでしょう。次のステップでは、高品質な娯楽により多くの時間をかけ、退屈なもののためにはより少ない時間しかかけないように、習慣を変えましょう。
単純に娯楽を低品質なものから高品質なものに変換することは避けるように提案します。これは大変難しいのです。なぜならたいていの高品質な娯楽というのは時間を多く割けるようなものではないからです。1ヶ月に1回、映画を見に行くのはよいでしょうが、1日に3回も見に行けば興奮するようなことではなくなってしまいます。
わたしが娯楽を向上させるために行っている戦略は2つのパートに分かれています。
自分自身にあった楽しみを作り出し、人生の時間を盗んでいくくだらないものを一掃しましょう。
以上は、
原文:「Upgrade Your Entertainment」Scott Young
からの翻訳です。