katabami.org

思索とアートとヘアカット
カテゴリ:

フラット経済学

共産主義に続いて資本主義も崩壊を迎えた今日、社会主義だけが命脈を保っている状況である。中国やロシアは国家社会主義の様相を呈している。我々、資本主義諸国は新しい経済学的パラダイムを必要としている。資本主義は、二度の世界恐慌を通じて崩壊した。恐慌は、実際の金銭と帳簿上のお金の差が大きくなって起こる。

実際の銀行のお金(自己資本)は、百万円しかないのに、多くの人がお金の貸し借りを繰り返していく。例えば、Aさんが八十万円借りてローンでは十二回払いにした場合、銀行は、さらに九十万円をBさんに貸すことができ、それがローンとして支払われると言うことで、さらにCさんが八十万円を借りることができたりする。その結果、実際のお金は百万円なのに、帳簿上のお金は、80+90+80=250:二百五十万円にふくれる。

また額面五百円の株券が九百円で取引され、それが百枚ある場合、(900-500)×100=40000:四万円の実際のお金(上場会社に支払われた500×100=50000:五万円)に付く付加価値となる。九百円で取引された同株券、百枚を発行元株式会社に現金化を要請すると(900-500)×100=40000:四万円、足りなくなる。これも実質金銭と取引上の金額(帳簿上の金銭)に差が出る。

銀行の場合は取り付け騒ぎ、株式市場の場合は株の暴落を生む。こういった活動を俗にマネーゲームと言うが、新しい経済学的なパラダイムは、実質金銭と帳簿上の金銭の差をなくすために、マネーゲームを禁止する機構を持つ。これを私は、「フラット経済学」と銘打つ。あえて「フラット(平ら)」という言葉を選んだのは、社会の上層を占める経済的なエスタブリッシュメントだけが資本の無限増殖を繰り返し、所得格差の固定を生じている現状の資本主義に代わって、多様な所得階層がオープンで自由な経済市場で資本の増殖を行う経済的潜在能力の平板化(フラット化)を指向するからである。

インターネットやPCの普及により、映像、音楽、画像、出版などが熟練したプロでなくても、誰でも作成できるようになった。それと同様に資本の増殖に誰でも参加できる社会、経済体制、低資本でも商業を起こせるような、社会的インフラが、現代、整備されつつある。例えば1円起業と言ったものや、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での物販といったものである。SOHO(スモール・オフィス・ホーム・オフィス)もその類である。小規模な商業の大量発生は、まさに経済のフラット化を意味している。人間が生活するために必要な最低限の衣食住が無料で提供される仕組みが整備される。例えば、コンビニエンスストアやスーパーでの売れ残りで、消費可能な食品が、集配トラックで順次集められ、無料の食堂として開放されるといったことも考えられる。また、衣類も売れ残りを一箇所に集めれば、無料提供が可能になるだろうし、住居も税金投入によって、最低限度の品質で、また住所付きで、無料提供が可能になる。

話が前後するが、マネーゲームを禁止するため、銀行の自己資本のみの営業、為替レートの永年固定化、株式はすベて発行時の額面でのみ取引されるようにする。(株式の株価固定化)また、会社給与のフラット化も推進される。例えば、会社社員の基本給与が、平社員から社長まで、一律、二十万円になり、後は社員の個別出費(育児費、学費、交際費など)が計上されて別に支給される。すなわち基本給与:二十万円+(プラス)必要経費(付加給与)。それに加えて「おねだり制度」を導入する。「車欲しい」「家が欲しい」などの高額な買い物は、勤務年数や業績により、社長が社員の申請を承認する形で購入し贈与する。社長のおねだりは、社員全員の投票により、例えば過半数で決定する。「おねだり制度」は、全社員から、蓄財(貯金)のチャンスを除外し、富の死蔵(アダム・スミス)を防止し、会社資産を大幅に増加させ、黒字化することができる。これは余談になるが、退職金の支払いが困難になって久しい今日、退職金に代わって退職後給付金をわたしは検討している。退職後給付金とは、勤務一年につき一枚退職後給付金券がもらう制度であるる。前年度の収益の一定割合を退職後給付金枠とし、退職者個人の退職後給付金券の枚数÷生存している退職者全員の退職後苦給付金券の枚数×退職後給付金対象枠金額を退職者個人に給付する。これは勤務手段が多いほど給付金が増えるので、社員の会社への定着率が増加するはずである。それに加えて社員の福利厚生として、十万円を超える社員の医療費は全額会社負担とするのも一案である。

既存の経済的エスタブリッシュメントは、地主として土地を広げ、地代収入を増やすと言う方向性で進むといいだろう。

サイトマップ © katabami.org 2024