SFの映像では、地表から浮いた乗り物が走り回るのを見る機会がある。それは反重力装置をつけた乗り物で、垂直離着陸機(VTOL機、Vertical Take-Off and Landing、ブイトール機、ヴィトール機)とは異なる。反重力は夢の技術で遠い未来のものと考えられている。しかし、真偽の程はさておいて、われわれが見る宇宙人の乗り物(例えばUFO)は、動きから見て、どう見ても、反重力としか思えない。まず、後ろや前や左右という発想がない、多くは円盤型をしており、前、後ろ、上、下、右、左と、自由に移動できる。それ比べて、人間の飛行機は、右に行くためには、前に進みながら右にカーブしないといけない、下に行くためには、前に進みながら下に降りないといけない。ヘリコプターやVTOL機では、上下は自由に行くが、右、左には、直接移動できない。例えば、人工衛星では、燃料を噴射することで、スラスト(thrust)して、上下、左右、に動くことができる。しかし、宇宙人の乗り物には、燃料を噴射する機構が見られない。では、どうやって、UFOは、推進力を生み出しているのだろうか。それは重力の問題を解決することではなかろうか。
映画『キングスマン』(2015年)では、人がぶらさがった気球で成層圏まで達して、そこからミサイルを発射して、人工衛星を撃ち落とすシーンが出てくる。われわれは宇宙というと、スペースシャトルのように莫大な燃料を使って、地球の重力に逆らって、宇宙に達するイメージがある。距離で考えると、日本からアメリカ合衆国に行くよりも、日本から宇宙に行くほうが、ずっと近いのである。しかし、飛行機の乗客になるのは簡単だが、宇宙飛行士になるのは困難である。気球という低エネルギーの道具で宇宙近くまで行くことは現実に可能であるが、地球の重力を振り切ることはできない。あくまで成層圏までが限度である。密度が大気よりも低い気体を気球の中に入れることで、上昇するが、宇宙空間に行くと、大気が存在しないため、とたんに重くなり、地表に向かう力が気球に働く。この重力の問題が、われわれをして宇宙に行くことをはばんでいるのである。
ヒントは、ブラックホールや中性子星にある。密度の非常に高い物質は、周囲の物質を、時には光までも、吸い寄せてしまう。それは強い重力を発しているからである。例えば、半径たった10キロメートルのブラックホールがあることも確認されている。体積に対して、重ければ重いほど、中心に向かって大きな重力がかかることになる。では、その逆は考えられないだろうか。太陽のサイズで、重さは1グラムといった密度の極めて小さな物体があれば、逆に中心から周囲に対して重力が発生するのではなかろうか。例えば、物質が存在しない世界で、ある方向に重力が出たとする。そうすると、その重力の目的地(方向)に対して、球形に重力が発生するのではなかろうか。その結果、球形に働いた重力の中心に、物質が発生するのではなかろうか。物質が存在しうるということは、外側から中心に向かって、重力が働いていると同時に、中心から外側に向かって、反対方向の力(仮に反重力)が働いている。そうでなければ、最終的には中心に向かう重力は、消滅して、エネルギーになってしまう。中心に向かって働く重力が存在するためには、中心から外側に向かって働く反重力が必要なのである。したがって、太陽の体積で、1グラムの物質では、物質という形を取るためには、中心から強い力で外側に向かって力(反重力)が働かなければならなくなる。そうでければ、その物質は中央に向かう重力に押しつぶされて、消えてエネルギーになってしまうからである。
例えば、水素原子1個の重さで、バレーボールの体積の物体を作ってみてはどうだろうか。そのためには、その物体に莫大なエネルギーを与えないといけない。物体はエネルギーを与えると、高温になり、光りだす。それは、原子の核である陽子の周りを回っている電子が、より早い速度で、より遠くまで動くからである。その結果、密度の極めて小さな物質ができる。逆に言うと、ブラックホールや中性子星は、エネルギーが極めて少ない物体ということになる。エネルギーが高い物体は、低密度になるのである。もし仮に、水素原子1個の重さで、バレーボールの体積の物体を作ることができれば、中心から外側に向けて重力が発生する物体を作ったことになる。それをどうやって制御するのか。それは、おそらく高密度の物体(例えばゴールド)を、その物体の中心の周りに配置することで、その部分の外側への重力を吸収することができるのではないか。例えば、そのバレーボールをある方向に移動させたいとする。その場合、その方向の反対方向以外を、高密度の物体で覆ってしまうのである。そうすることで、後ろから前へ、推進力が生じる。外側への重力が高密度の物質で吸収されるからである。その高密度の覆いを動かせば、物体は365度どんな方向にも移動できる。UFOで光るものがあるのは、おそらく、UFOの中心に物体の核があり、UFOの船外にその物体の外側があるのだろう。UFOの船内は生物が住める状態にしなくてはならないからである。船外が高温となり、光を発している状態になっているのである。宇宙人の特集の番組で、観たのだが、アメリカのエドワード空軍基地では、宇宙人の空飛ぶ円盤の研究をしているとあって、プラズマが関係していると言われていたが、プラズマというのは、おそらく宇宙人がついた嘘なのではないだろうか。反重力装置を完成させると、宇宙はぐっと近くなる。もちろん、最初の反重力装置は、莫大なエネルギーを使用することになるだろうが、次第に、エネルギー量を減らした反重力装置が出てくるはずである。この反重力装置は、燃料を噴射する機構ではないので、音や物質による、環境への影響が少ない。スペースシャトルのようにロケットエンジンで宇宙に移動する乗り物が多数あれば、地球環境に大きな影響があるが、反重力装置があれば、現在よりも簡単に宇宙空間に行けるに違いない。