理系、文系というおおざっぱな学問の分類ができるとすれば、発表された論文の確からしさ(正しさ)を証明するのは、理系の方がより、簡単であると考えるが、どうであろうか。理系の学問は数学を基礎としてその上に化学や物理学や生物学が築かれている。数学は記号の整合性を示す学問とも言えるので、何もかもが合理的な説明とならざるを得ない。化学や物理学であろうと、微分や積分に代表されるように近似的になることはあるにしても数学の合理性をほぼそのまま受け継いでいるといってよい。では、文系の学問、特に哲学はどうであろうか。哲学は学問の始まりではあるが、そこから自然科学や社会学や文学などができていき、最後に残った領域が現代における哲学であるが、その哲学を中心として、文系の学問は数式化されないことが多い。数字と文字の違いは、数字が単一の意味しか持たないのに比べて、文字が複数の意味を持つことである。であるから、数式化された表現を文字によって示すことも可能であろう。文系の学問のほうが理系の学問よりも、確からしさの点で劣っていると思われるのは、論文著述者の文字に対する意味づけと読者の文字に対する意味付けのずれが生じている可能性が高い。であるから、いちがいに確からしさの点で、確実に理系論文が文系論文を上回るとも言えないと言える。